第15回 言語聴覚士国家試験 第94問
成人聴覚障害第15回
老人性難聴の主たる病態に関連しないのはどれか。
- 1.血管条の萎縮
- 2.有毛細胞の障害
- 3.正円窓膜の硬化 ✓
- 4.基底板の弾性の低下
- 5.らせん神経節細胞の減少
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 正円窓膜の硬化
老人性難聴は蝸牛内の加齢変化によって生じる感音難聴であり、その主たる病態は蝸牛内部(血管条・有毛細胞・基底板・神経節細胞)の萎縮・変性です。正円窓膜の硬化は耳硬化症の病態であり、老人性難聴とは関連のない異なる疾患メカニズムです。
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【各選択肢の解説】
1. 血管条の萎縮
✅ 正しい。老人性難聴の最も代表的な病理所見の一つです。血管条の萎縮により内リンパ液の産生低下やイオン環境異常が生じ、蝸牛機能が低下します。
2. 有毛細胞の障害
✅ 正しい。加齢に伴い有毛細胞(特に外有毛細胞)が減少・変性し、音の周波数分析機能が障害されます。これにより感音難聴が生じます。
3. 正円窓膜の硬化
❌ 誤り。正円窓膜の硬化は耳硬化症の病態です。耳硬化症はアブミ骨周囲の骨迷路に骨新生が生じる疾患であり、老人性難聴の病態とは異なります。老人性難聴は蝸牛内部の神経上皮系の萎縮が中心です。
4. 基底板の弾性の低下
✅ 正しい。基底板の弾性低下により周波数別振動特性が変化し、特に高音域の聴力低下が顕著になります。老人性難聴の典型的な高音域から始まる聴力低下パターンを説明します。
5. らせん神経節細胞の減少
✅ 正しい。加齢により蝸牛神経の一次感覚神経細胞(らせん神経節細胞)が減少し、神経線維の脱髄や軸索変性が生じます。これにより中枢への信号伝達が低下します。
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【試験対策ポイント】
老人性難聴 vs 耳硬化症の病態比較
| 項目 | 老人性難聴 | 耳硬化症 |
|---|---|---|
| 障害部位 | 蝸牛内部(血管条・有毛細胞・基底板・神経) | アブミ骨周囲(骨迷路) |
| 主たる病理 | 萎縮・変性 | 骨新生(硬化) |
| 関連する膜 | 基底板・内リンパ | 正円窓膜 |
| 発症年齢 | 60歳以上で顕著 | 20~40歳代(若年) |
| 聴力パターン | 高音域から低下 | 導音難聴→混合難聴 |
老人性難聴の5つの主要病態
1. 血管条萎縮(内リンパ産生低下)
2. 有毛細胞消失(特に外有毛細胞)
3. 基底板弾性低下(周波数特性変化)
4. らせん神経節細胞減少(神経線維脱髄)
5. 上記1~4は蝸牛内部の構造
正円窓膜は「中耳から内耳への振動伝達を調節する膜」であり、老人性難聴では直接的な障害対象ではありません。