第28回 言語聴覚士国家試験 第196問
成人聴覚障害第28回
成人難聴者との初回面接時の行動観察で評価できないのはどれか。
- 1.聴覚障害の種類の特定 ✓
- 2.音声言語の疎通性の確認
- 3.発声発語の状況による難聴発症時期の推測
- 4.難聴に関する自己認識(障害認識)の推察
- 5.コミュニケーションストラテジーの活用状況の把握
正答:1番
解説
# 第28回 第196問 解説
■ 正答:1番 — 聴覚障害の種類の特定
**聴覚障害の種類(伝音難聴・感音難聴・混合性難聴・中枢性聴覚処理障害)の確定診断には、純音聴力検査・ティンパノメトリー・音声言語検査などの客観的聴覚検査が必須です。行動観察のみでは難聴の種類を特定することはできません。**
---
【各選択肢の解説】
1. 聴覚障害の種類の特定
❌ **できない。** 難聴が伝音性か感音性か、あるいは混合性かを判別するには、純音聴力検査(気導・骨導の比較)やティンパノメトリー検査が必要です。行動観察だけでは難聴の種類を特定することはできません。
2. 音声言語の疎通性の確認
✅ **できる。** 初回面接での会話を通じて、相手の話す内容をどの程度理解できるか、相手は本人の発話をどの程度理解できるか、といった実際のコミュニケーション成立状況を評価できます。
3. 発声発語の状況による難聴発症時期の推測
✅ **できる。** 言語音が発達する前に難聴を発症した場合、音韻体系の獲得不十分によって発語の異常や音声言語の形成不全が観察されます。一方、成人発症難聴では発語や言語能力が相対的に保たれているため、難聴発症時期(先天性・幼児期・成人期)の推測が可能です。
4. 難聴に関する自己認識(障害認識)の推察
✅ **できる。** 初回面接での態度・発言・会話からは、本人がどの程度自分の難聴を自覚しているか、それに対してどのような心理的態度(受容・否認・悲観など)をとっているかを推察できます。
5. コミュニケーションストラテジーの活用状況の把握
✅ **できる。** 相手の話を理解できないときに筆談を求める、相手に繰り返してもらう、音読して確認するなど、実際の面接場面において難聴者が講じているコミュニケーション工夫を直接観察できます。
---
【試験対策ポイント】
**行動観察で評価できることと、検査で初めて確定できることの境界線を引くことが重要です。**
✓ **行動観察で評価できる項目**:
- 聴覚活用の状況(補聴器装用・反応の有無)
- 実際のコミュニケーション困難の場面
- 代償手段の活用(筆談・読唇・ジェスチャー)
- 心理・社会的な側面(自己認識・受容度)
✗ **客観検査が必須の項目**:
- **難聴の種類(伝音 vs 感音 vs 混合)**:純音聴力検査で気導と骨導の差を比較
- 難聴の程度:聴力レベルの数値化
- 中耳機能:ティンパノメトリー(A型・B型・C型・Ad型の分類)
- 語音弁別能:語音検査
**「聴覚障害の種類の特定」は医学的診断に属する項目であり、初回面接の行動観察のみで判定することはできません。言語聴覚士は検査結果の解釈と、その情報を踏まえた支援計画の立案を担当します。**