STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第27回 言語聴覚士国家試験 第196問

成人聴覚障害第27回
加齢性難聴で誤っているのはどれか。
  1. 1.性差が認められる。
  2. 2.騒音下の聞き取りが悪化する。
  3. 3.無声子音の聞き取りが悪化する。
  4. 4.原因として単一の因子が関与している。 ✓
  5. 5.難聴の進行に伴い耳鳴の訴えが増加する。

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 原因として単一の因子が関与している。 加齢性難聴は、加齢に伴う複数の因子(酸化ストレス、遺伝的素因、全身疾患、騒音曝露、ミトコンドリア機能低下など)が相互に作用して発症する多因子疾患です。単一の因子では説明できないため、この選択肢が誤りです。 --- 【各選択肢の解説】 1. 性差が認められる。 ✅ 正しい。加齢性難聴は男性が女性より早期から進行する傾向が報告されており、はっきりとした性差が認められています。 2. 騒音下の聞き取りが悪化する。 ✅ 正しい。加齢性難聴では高周波数域の聴力低下が顕著なため、静かな環境での聞き取りよりも、背景騒音のある環境での言語理解能力(聞き分け能力)が著しく悪化します。 3. 無声子音の聞き取りが悪化する。 ✅ 正しい。無声子音(/p/、/t/、/k/、/s/など)は高周波数帯域の音声成分が豊富です。加齢性難聴では高周波領域の聴力低下が特徴的なため、無声子音の聞き取りが選択的に悪化します。 4. 原因として単一の因子が関与している。 ❌ 誤り。加齢性難聴は多因子疾患で、遺伝要因、環境要因(騒音曝露)、ミトコンドリア機能低下、酸化ストレス、全身疾患の影響など複数の因子が複雑に関与しています。単一要因では説明不可能です。 5. 難聴の進行に伴い耳鳴の訴えが増加する。 ✅ 正しい。加齢性難聴が進行する過程で、約25~50%の患者が耳鳴を訴えるようになります。神経可塑性やタイニタスの関与が考えられており、難聴の重症化に伴い耳鳴の訴えも増加する傾向があります。 --- 【試験対策ポイント】 加齢性難聴の特徴比較表 | 項目 | 特徴 | |---|---| | 聴力パターン | 高周波数域から低下(感音難聴) | | 性差 | 男性が女性より進行速い | | 音声帯域への影響 | 無声子音 > 有声子音 | | 騒音環境下 | 聞き分け能力↓↓(重度に悪化) | | 原因 | 多因子疾患(遺伝・環境・加齢現象) | | 耳鳴 | 難聴進行に伴い増加傾向 | 重要な否定知識:「単一の因子」ではないこと 加齢性難聴は公衆衛生・個体要因・遺伝因子が三重螺旋的に関与する多因子疾患であり、「加齢だけが原因」という単純な理解は誤りです。 紛らわしい点: 無声子音の悪化を聴力型で理解する。高周波難聴だから高周波成分が豊富な無声子音が聞きづらくなる、という因果関係を明確に結びつけることが重要です。
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