STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第10問

臨床神経学第16回
脳卒中について誤って いるのはどれか。
  1. 1.早期からリハビリテーションを開始する。
  2. 2.重度弛緩性麻療では肩関節亜脱臼を生じやすい。
  3. 3.左半側空間無視は右半球損傷患者でみられる。
  4. 4.水飲みテストでむせがなければ嚥下障害は否定できる。 ✓
  5. 5.片麻症患者の起き上がりでは、まず非麻痺側へ寝返りをさせる。

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 水飲みテストでむせがなければ嚥下障害は否定できる。 水飲みテストでむせがないことは、顕性誤嚥(むせを伴う誤嚥)がないことを示すに過ぎません。静かな誤嚥(silent aspiration)や咽頭残留が存在する可能性があり、嚥下障害を完全には否定できません。嚥下障害の確実な診断には、VF(嚥下造影検査)やVE(嚥下内視鏡検査)などの精密検査が必要です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 早期からリハビリテーションを開始する。 ✅ 正しい。脳卒中後の急性期からのリハビリテーション開始は、廃用性萎縮の予防、関節拘縮の防止、神経可塑性の活用という観点から非常に重要です。可能な限り早期(48時間以内が目安)から開始することが推奨されています。 2. 重度弛緩性麻痺では肩関節亜脱臼を生じやすい。 ✅ 正しい。弛緩性麻痺では肩甲上腕筋群(特に棘下筋・棘上筋)の筋力低下により、上腕骨頭を支持できなくなります。自重で下垂すると肩関節亜脱臼が生じやすく、これは疼痛や可動域制限を招くため、三角巾やスリングでの支持が重要です。 3. 左半側空間無視は右半球損傷患者でみられる。 ✅ 正しい。左半側空間無視(左偏側空間無視)は、右半球(特に右頭頂葉)損傷時にみられます。これは「非言語的・空間的情報処理」が右半球優位であるためです。患者は左側の存在に気づかず、歩行時に左側の障害物に衝突することもあります。 4. 水飲みテストでむせがなければ嚥下障害は否定できる。 ❌ 誤り。これが本問の正答根拠です。水飲みテストは簡易的なスクリーニング検査に過ぎず、むせがないからといって嚥下障害を否定することはできません。咽頭期の問題(咽頭残留)や静かな誤嚥の検出が困難なため、疑いがあればVFやVEによる精密検査が不可欠です。 5. 片麻痺患者の起き上がりでは、まず非麻痺側へ寝返りをさせる。 ✅ 正しい。起き上がり動作の標準的なアプローチは、(1)非麻痺側へ寝返り→(2)非麻痺側肘で支持→(3)体を起こす という順序です。麻痺側を活動させると不安定になり、転倒リスクが高まるため、常に非麻痺側を活用します。 --- 【試験対策ポイント】 嚥下評価の落とし穴(重要否定知識) | 検査法 | 検出できる項目 | 検出できない項目 | |---|---|---| | 水飲みテスト | 顕性誤嚥(むせ) | 静かな誤嚥、咽頭残留 | | VF検査 | 全相の動態(視覚化可能) | 反射的誤嚥の瞬間(不鮮明) | | VE検査 | 嚥下前後の評価、咽頭残留 | 嚥下反射時(ホワイトアウト) | むせがない=嚥下障害がないではない! 重症患者ほど静かな誤嚥のリスクが高い。 脳卒中リハビリテーションの基本 - 早期開始:機能回復の神経可塑性を
関連

▶ 第16回 全問一覧

▶ 臨床神経学 の過去問一覧