第16回 言語聴覚士国家試験 第9問
臨床神経学第16回
82 歳の女性。 l 年前から徐々に物忘れが進行。 2か月前から「寝室に知らない子供が来て遊んでいる」と言いだし、家族に連れられて受診。挨拶もでき会話は円滑であるが、日付けや今いる場所はわからない。小幅歩行と軽度の筋強剛(筋固縮)を認める。 最も疑われる疾患はどれか。
- 1.脊髄小脳変性
- 2.パーキンソン病
- 3.レビ一小体型認知症 ✓
- 4.クロイツフェルト・ヤコブ病
- 5.統合失調症
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、認知機能障害(特に時間・場所の見当識障害)、視幻覚(動物や子供が頻繁)、パーキンソニズム(小幅歩行・筋強剛)の3徴候の組み合わせが特徴です。本症例は全てを満たし、進行性・高齢発症・幻覚の内容(知らない子供)も典型的です。
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【各選択肢の解説】
1. 脊髄小脳変性症
❌ 誤り。小幅歩行は認めても、時間・場所の見当識障害や視幻覚は初期症状ではありません。本症では進行性の歩行障害と小脳性運動失調(構音障害・眼球運動異常)が前景となり、認知機能障害は後期に出現します。
2. パーキンソン病
❌ 誤り。小幅歩行と筋強剛は合致しますが、パーキンソン病単独では認知機能障害や視幻覚は初期~中期症状ではありません。認知症が合併する場合でも進行が遅く、また視幻覚(特に動きのある対象)はレビー小体型認知症ほど頻繁ではありません。
3. レビー小体型認知症
✅ 正しい。本症の診断的3徴候=認知機能障害+視幻覚+パーキンソニズムが全て揃っています。特に視幻覚の内容(動く子供)はレビー小体型認知症の典型例です。アルツハイマー型認知症より進行が速い傾向にあります。
4. クロイツフェルト・ヤコブ病
❌ 誤り。CJD(孢子体型)は急速進行性で通常3~6ヶ月で寝たきりになります。1年の緩徐進行、見当識障害のみで他の神経症状が限定的である本症例には不合致です。また視幻覚も初期症状ではありません。
5. 統合失調症
❌ 誤り。統合失調症では幻覚は聴覚的幻聴が中心で、視幻覚は稀です。また本症例の「年1年の進行」「小幅歩行・筋強剛」は一次精神疾患では説明がつきません。高齢発症の統合失調症も極めて稀です。
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【試験対策ポイント】
レビー小体型認知症(DLB)の診断基準
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 認知機能障害 | 見当識障害が前景。記憶障害は後期 |
| 視幻覚 | 動く対象(子供・動物)が典型。リアル |
| パーキンソニズム | 小幅歩行・筋強剛。手振戦は少ない |
| 睡眠障害 | RBD(レム睡眠行動障害)が特徴的 |
| 自律神経症状 | 起立性低血圧・排尿障害 |
鑑別の4疾患との比較
| 疾患 | 認知機能 | 幻覚 | 運動症状 | 進行速度 |
|---|---|---|---|---|
| レビー小体型 | 見当識↓↓ | 視覚(動く対象) | 小幅歩行・筋強剛 | 中等度(3~10年) |
| パーキンソン病 | 後期に低下 | 稀(後期) | 静止時振戦・寡動 | 遅い(10~20年) |
| アルツハイマー型 | 記憶障害が前景 | なし | 運動症状なし(初期) | 中等度(8~10年) |
| CJD | 急速低下 | なし |