第16回 言語聴覚士国家試験 第101問
医学総論第16回
薬の効果を証明するための研究について正しいのはどれか。
- 1.今までにその薬を内服した人を調べるのを前方視的研究という。
- 2.比較対照のために用いられる有効成分のない薬をプラセボ (偽薬)という. ✓
- 3.参加者を性別によって2群に分けて調べるのを無作為化比較試験という。
- 4.参加者に薬の内容を知らせないのをダブルブラインドテスト(二重 盲検法という。
- 5.参加者は当初定めた期間の途中で協力を中断することはできない。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 比較対照のために用いられる有効成分のない薬をプラセボ(偽薬)という
プラセボは薬効成分を含まない対照薬で、薬理作用ではなく心理的効果による改善を分離するために使用されます。医学研究の信頼性を高める基本的な手法であり、試験方法の中でも特に重要な要素です。
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【各選択肢の解説】
1. 今までにその薬を内服した人を調べるのを前方視的研究という
❌ 誤り。前方視的研究(cohort study)は「これからの経過を追う」研究です。過去のデータを遡って分析するのは後方視的研究(case-control study)です。
2. 比較対照のために用いられる有効成分のない薬をプラセボ(偽薬)という
✅ 正しい。プラセボは薬理学的な有効成分を含まない対照薬であり、心理的効果(プラセボ効果)と実際の薬理作用を分離するために不可欠です。
3. 参加者を性別によって2群に分けて調べるのを無作為化比較試験という
❌ 誤り。無作為化比較試験(RCT)の特徴は「性別などの属性による層化ではなく、ランダム割り付け」にあります。層化はバイアスを生むため、無作為(ランダム)配置が原則です。
4. 参加者に薬の内容を知らせないのをダブルブラインドテスト(二重盲検法)という
❌ 誤り。ダブルブラインドテストは「参加者と評価者の両者が薬の内容を知らない」状態です。参加者だけが知らないのはシングルブラインドテストです。
5. 参加者は当初定めた期間の途中で協力を中断することはできない
❌ 誤り。ヘルシンキ宣言やGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)では、参加者には「いつでも理由なく同意を撤回できる権利」が明記されています。これは倫理的原則です。
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【試験対策ポイント】
医学研究の主要タイプ比較表
| 特徴 | 前方視的研究 | 後方視的研究 | 無作為化比較試験(RCT) |
|---|---|---|---|
| 時間方向 | 過去→未来 | 未来→過去 | 過去→未来 |
| データ収集 | これからの経過を記録 | 過去のデータを遡る | 厳密な群分け後に追跡 |
| コスト・期間 | 長期・高コスト | 短期・低コスト | 最も長期・高コスト |
| バイアス対策 | 層化(性別等)、マッチング | 制限、マッチング | ランダム割り付けが原則 |
| エビデンスレベル | 中程度 | 低~中 | 最高(Level 1) |
ブラインド法の種類
| 方法 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| オープン | 全員が薬の内容を知っている | プラセボ効果が最大。バイアス大 |
| シングルブラインド | 参加者のみが知らない | 評価者のバイアス残存 |
| ダブルブラインド | 参加者・評価者両者が知らない | バイアス最小。倫理的にも最適 |
| トリプルブラインド | 参加者・評価者・統計解析者が知らない | 最も厳密(稀) |
倫理に関する重要原則
・インフォームドコンセント:参加者の「知る権利」「同意する権利」
・同意撤回権:いつでも理由なく研究協力を中止できる(強制はされない