STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第109問

精神医学第16回
外傷後ストレス障害について正しいのはどれか a.大災害被災者や犯罪被害者にみられることが多い。 b.画像検査で器質的脳損傷を認めることが多い。 c.身体の受傷と後遺症に伴う長期のス トレスが原因である。 d.うつ病、全般性不安障害 、薬物依存のいずれかを合併しやすい 。 e.フラッシュパックなどの再体験症状がみられる。 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — a,d,e 外傷後ストレス障害(PTSD)は、トラウマティックな出来事への心理的反応であり、大災害や犯罪被害に続発する精神疾患です。神経画像異常ではなく心理的メカニズムが本質であり、また身体受傷の有無を問わず発症するため、b・cは誤りです。一方、高率に他の精神疾患を合併し、フラッシュバックなどの再体験症状が診断に必須です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 大災害被災者や犯罪被害者にみられることが多い。 ✅ 正しい。PTSDは戦争、地震、テロ、強盗、性暴力などのトラウマティックな出来事後に発症します。これらは確立された危険因子であり、疫学的に高いPTSD有病率が報告されています。 b. 画像検査で器質的脳損傷を認めることが多い。 ❌ 誤り。PTSDは機能的精神疾患であり、脳MRIやCTで器質的損傷を「多く」認めることはありません。ただしfMRIなどの機能画像では辺縁系と前頭前皮質の異常活動が報告されていますが、これは病理学的損傷とは異なります。器質的損傷が多いのは外傷性脳損傷(TBI)で、PTSDとは区別が必要です。 c. 身体の受傷と後遺症に伴う長期のストレスが原因である。 ❌ 誤り。PTSDの原因は「身体受傷」ではなく「心理的トラウマ体験」です。身体的危害を受けない場合(目撃・報告のみ)でもPTSDは発症します。また慢性疼痛のような身体的ストレスが主原因ではなく、心理的な恐怖・無力感・死の脅威への反応が本質です。 d. うつ病、全般性不安障害、薬物依存のいずれかを合併しやすい。 ✅ 正しい。PTSDの併存精神疾患は一般人口の2~3倍高く、特にうつ病(50~80%)、全般性不安障害、物質関連障害の合併が報告されています。PTSD患者はこれら疾患のいずれかを合併する確率が非常に高いため、包括的な評価と治療が必須です。 e. フラッシュバックなどの再体験症状がみられる。 ✅ 正しい。フラッシュバック(侵入的記憶)、反復的な悪夢、トラウマ関連の思考は、DSM-5によるPTSD診断に必須の再体験症状クラスターです。これは回避症状・認知変化・覚醒変化と並ぶ中核症状です。 --- 【試験対策ポイント】 PTSD診断の必須要素(DSM-5) | 症状クラスター | 具体例 | 診断に含まれるか | |---|---|---| | 再体験 | フラッシュバック・悪夢・思考侵入 | 必須 | | 回避 | 状況・人物・会話の回避 | 必須 | | 認知変化 | 陰性認知・感情麻痺 | 必須 | | 覚醒変化 | 過警戒・易怒性・危険行動 | 必須 | PTSD vs 関連疾患 - 外傷性脳損傷(TBI):脳画像異常あり=PTSDと区別 - 急性ストレス障害(ASD):発症が3日~1ヶ月以内 - 適応障害:特定の生活変化が引き金(トラウマ不要) - うつ病性障害:トラウマの有無を問わず発症 PTSDの身体受傷に関
関連

▶ 第16回 全問一覧

▶ 精神医学 の過去問一覧