第16回 言語聴覚士国家試験 第111問
聴覚系第16回
中耳炎について正しいのはどれか 。
a.慢性中耳炎の鼓膜穿孔は緊張部に多い 。
b.内耳への波及によって感音難聴をきたす。
c.急性中耳炎に抗菌薬治療は必須である 。
d.小児の惨出性中耳炎では薬物治療が著効する。
e.急性中耳炎で最も多く検出される細菌は黄色ブドウ球菌である。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — a,b
慢性中耳炎の鼓膜穿孔は緊張部(上鼓室部を除く大部分)に好発し、内耳への炎症波及により感音難聴が引き起こされます。この2点が中耳炎の臨床的に重要な特徴です。
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【各選択肢の解説】
a. 慢性中耳炎の鼓膜穿孔は緊張部に多い
✅ 正しい。慢性中耳炎の鼓膜穿孔は緊張部(pars tensa)に発生することが圧倒的に多く、予後が良好です。一方、上鼓室部(pars flaccida)の穿孔は真珠腫形成のリスクが高く、予後が不良です。
b. 内耳への波及によって感音難聴をきたす
✅ 正しい。慢性中耳炎から内耳炎(ラビリンチタイス)に波及すると、蝸牛や前庭器官が障害されて感音難聴と眩暈が生じます。これは慢性中耳炎の合併症の一つです。
c. 急性中耳炎に抗菌薬治療は必須である
❌ 誤り。急性中耳炎は「自然治癒率が高い」(特に小児)ため、抗菌薬治療は必須ではありません。むしろ「経過観察」を原則とし、症状が改善しない場合や高リスク患者に限定的に使用されるようになっています。
d. 小児の滲出性中耳炎では薬物治療が著効する
❌ 誤り。滲出性中耳炎の薬物治療(鼻処置、ステロイド等)の効果は「限定的」です。改善しない場合は鼓膜チューブ留置が標準的な治療です。「著効」という表現は不適切です。
e. 急性中耳炎で最も多く検出される細菌は黄色ブドウ球菌である
❌ 誤り。急性中耳炎の最頻出菌は肺炎球菌(次点でインフルエンザ桿菌)です。黄色ブドウ球菌は頻度が低く、特に抗生物質耐性菌による感染が問題になります。
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【試験対策ポイント】
中耳炎の分類と特徴
| 項目 | 急性中耳炎 | 慢性中耳炎 | 滲出性中耳炎 |
|---|---|---|---|
| 鼓膜穿孔 | 一過性 | 持続的(緊張部に多い) | なし |
| 難聴の種類 | 伝音難聴 | 伝音難聴+感音難聴(内耳波及時) | 伝音難聴 |
| 治療 | 経過観察が原則 | 手術(含真珠腫摘出) | チューブ留置が標準 |
| 最頻出菌 | 肺炎球菌、インフルエンザ桿菌 | 混合感染(Staph, Pseudo含む) | 無菌性またはウイルス |
鼓膜穿孔部位による予後の違い
- 緊張部(pars tensa)穿孔:自然閉鎖しやすい、真珠腫リスク低い
- 上鼓室部(pars flaccida)穿孔:自然閉鎖困難、真珠腫形成リスク高い→予後不良
中耳炎の合併症(内耳波及時)
- 感音難聴(ラビリンチタイス)
- 眩暈・平衡障害
- 前庭障害
急性中耳炎治療の最新知見
- 自然治癒率:高い(特に小児)
- 抗菌薬無効例が多い