第16回 言語聴覚士国家試験 第113問
臨床神経学第16回
アルツハイマー病について正しいのはどれか。
- 1.抗コリン薬が有効である
- 2.髄液のタウ蛋白が増加する。 ✓
- 3.脳内セロ トニンが増加する。
- 4.脳代謝は前頭葉で最も低下する 。
- 5.脳病理では海綿状態が特徴的である。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 髄液のタウ蛋白が増加する。
アルツハイマー病の髄液バイオマーカーは、セントラル・ドグマとして確立されています。髄液ではアミロイドβ42(Aβ42)の低下、タウ蛋白とリン酸化タウ(p-tau)の増加が認められ、これらは病理学的変化(アミロイド沈着・タウ凝集)を反映する診断指標として広く用いられています。
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【各選択肢の解説】
1. 抗コリン薬が有効である
❌ 誤り。アルツハイマー病の治療の第一選択はコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル・リバスチグミン)です。抗コリン薬むしろ有害であり、せん妄や認知機能の悪化をきたします。近年ではアミロイド標的療法(アドゥカヌマブ・レカネマブ)が推奨されています。
2. 髄液のタウ蛋白が増加する。
✅ 正しい。髄液タウ蛋白の増加はアルツハイマー病の神経変性を反映する重要なバイオマーカーです。一方、髄液Aβ42は低下します。これらは脳脊髄液検査による生化学的診断の根拠となります。
3. 脳内セロトニンが増加する。
❌ 誤り。アルツハイマー病では脳内セロトニンが「低下」します。セロトニン神経の変性は認知機能低下と抑うつ症状に関与します。セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が補助的に用いられる理由です。
4. 脳代謝は前頭葉で最も低下する。
❌ 誤り。アルツハイマー病では側頭葉内側(海馬)および頭頂葉で脳代謝低下が「最も顕著」です。PETやSPECT検査で側頭頭頂葉の報酬低下パターンが特徴的です。前頭葉の変化は相対的に軽微です。
5. 脳病理では海綿状態が特徴的である。
❌ 誤り。海綿状態(spongiform change)はプリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病など)の特徴です。アルツハイマー病では老人斑(アミロイド沈着)と神経原線維変化(タウ凝集)が病理学的特徴であり、海綿状態は見られません。
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【試験対策ポイント】
アルツハイマー病 vs. 他の認知症の鑑別
| 項目 | アルツハイマー病 | 前頭側頭葉認知症 | クロイツフェルト・ヤコブ病 |
|---|---|---|---|
| 髄液タウ↑ | ✅ あり | ~ | △ 有変動 |
| 髄液Aβ42↓ | ✅ あり | ~ | ~ |
| 脳萎縮部位 | 側頭葉内側・頭頂葉 | 前頭葉・側頭葉 | 灰白質全般 |
| 病理:老人斑 | ✅ あり | ~ | ~ |
| 病理:海綿状態 | ✅ なし | ~ | ✅ あり |
| 進行速度 | 緩徐 | 緩徐 | 急速(1年以内) |
タウ蛋白・アミロイド関連:必出ポイント
- アミロイド仮説:Aβ42↓(脳に沈着)、タウ↑(凝集・リン酸化)
- タウ凝集は神経線維変化(NFT)を形成
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