第16回 言語聴覚士国家試験 第117問
臨床歯科医学/口腔外科学第16回
口腔乾燥症の原因にないのはどれか。
- 1.頭頚部放射線照射
- 2.糖尿病
- 3.精神的ストレス
- 4.口腔扁平苔癖 ✓
- 5.シェーグレン症候群
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 口腔扁平苔癖
口腔扁平苔癖(OLP)は、自己免疫性の粘膜疾患で、口腔粘膜に白色線状紋様や潰瘍性病変を形成しますが、唾液分泌機能の低下を引き起こさないため、口腔乾燥症の原因にはなりません。他の選択肢は全て口腔乾燥症の確実な原因です。
---
【各選択肢の解説】
1. 頭頸部放射線照射
✅ 正しい。放射線による唾液腺組織の破壊が直接的な原因となり、最も一般的な医原性口腔乾燥症です。特に照射量が高いほど、また唾液腺を含む照射野では唾液分泌能が著しく低下します。
2. 糖尿病
✅ 正しい。糖尿病では高血糖による浸透圧利尿で脱水が進行し、また自律神経障害により唾液分泌が減少します。さらに未控制の糖尿病では感染リスクも高まり、二次的に口腔乾燥が悪化します。
3. 精神的ストレス
✅ 正しい。心因性唾液分泌低下症とも呼ばれ、ストレスが交感神経を優位にすることで、副交感神経支配の唾液分泌が抑制されます。特に持続的なストレス環境では機能的な分泌低下が生じます。
4. 口腔扁平苔癖
❌ 誤り。OLPは上皮内の自己免疫性炎症疾患で、白色レース状の線条やビランが特徴です。唾液腺の組織破壊や分泌機能低下を伴わないため、口腔乾燥症の原因にはなりません。むしろOLP患者に口腔乾燥が併存する場合は、他の原因(シェーグレン症候群など)を疑う必要があります。
5. シェーグレン症候群
✅ 正しい。自己免疫疾患で、唾液腺と涙腺が自己免疫的に破壊され、口腔乾燥(キセロストミア)と眼乾燥(キセロフタルミア)が主症状です。ST国試頻出の口腔乾燥症の代表的原因です。
---
【試験対策ポイント】
口腔乾燥症(キセロストミア)の主要原因分類
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| 自己免疫疾患 | シェーグレン症候群 |
| 医原性(治療関連) | 頭頸部放射線照射、薬物(抗ヒスタミン薬・利尿薬など) |
| 全身疾患 | 糖尿病、肝硬変、腎不全 |
| 心因性 | 精神的ストレス、神経症 |
| 加齢 | 加齢に伴う唾液腺の委縮 |
**OLP(口腔扁平苔癖)と口腔乾燥症の関係性**
- OLP単独では唾液分泌低下を来さない
- OLP患者が口腔乾燥を訴える場合→別の原因(シェーグレン症候群との重複、薬物療法など)を検査
- OLPとシェーグレン症候群は並存することもあり、鑑別が必要
**試験での紛らわしさ対策**
- OLPは「口腔粘膜疾患」だが「唾液分泌疾患」ではない
- 「病変がある=乾燥症の原因」という誤った連想を避ける
- シェーグレン症候群との違いを明確に:OLPは病理的に上皮内炎症、シェーグレン症