第16回 言語聴覚士国家試験 第126問
学習心理学第16回
Bandura.Aの社会的学習理論で重要な概念はどれか。
- 1.随伴性
- 2.即時性
- 3.強化量
- 4.分化強化
- 5.代理強化 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 代理強化
Banduraの社会的学習理論の核となる概念は「代理強化(vicarious reinforcement)」です。これは観察学習時に、モデルが報酬を受けるのを見たことが、観察者自身の学習を促進する現象を説明します。古典的な行動学習とは異なり、自分が直接経験しなくても他者の経験を通じて学習が成立することを強調した画期的な理論です。
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【各選択肢の解説】
1. 随伴性
❌ 誤り。随伴性(contingency)は行動と結果の関連性を示す基本的な学習概念ですが、これはスキナーの道具的条件付けの中心概念です。Banduraはこれを超えて、観察を通じた学習メカニズムを提唱しました。
2. 即時性
❌ 誤り。即時性(immediacy)は強化が行動直後に与えられることの重要性を指す古典的行動学の概念です。Bandura理論ではこの時間的近接性より、観察学習の普遍性を強調しました。
3. 強化量
❌ 誤り。強化量(amount of reinforcement)は強化の大きさを指す基本的な変数ですが、社会的学習理論固有の概念ではなく、多くの学習理論に共通する要素です。
4. 分化強化
❌ 誤り。分化強化(differential reinforcement)は特定の行動のみを選別して強化する手続きで、弁別学習を生み出します。これも古典的行動学の概念であり、Bandura理論に特異的ではありません。
5. 代理強化
✅ 正しい。他者(モデル)が報酬を受けるのを観察することで、観察者が学習を遂行する現象です。直接経験がなくても学習が可能となり、人間の効率的な学習を説明する社会的学習理論の根本概念です。
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【試験対策ポイント】
| 理論 | 主要概念 | 学習メカニズム |
|---|---|---|
| スキナー(オペラント条件付け) | 随伴性・強化量・即時性 | 直接経験による試行錯誤 |
| Bandura(社会的学習) | 代理強化・モデリング・自己効力感 | 観察を通じた学習(直接経験不要) |
重要キーワード:
- 観察学習:モデルの行動と結果を観察して学習
- 代理強化:他者の強化経験から学ぶ
- 代理処罰:他者の罰を見て学習を抑制
- 自己効力感:自分の能力に対する主観的確信(Banduraの後発概念)
紛らわしい点:
選択肢1~4は「古典的行動学」の用語で、学習心理学の基礎ですが、Banduraが「社会的」学習として新たに強調したのは、「観察を通じた学習」のメカニズムです。特に代理強化は、他者の結果が学習者自身に動機付けを与える点で革新的でした。