STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第132問

生涯発達心理学第16回
視覚的断崖装置を用いて検討できるのはどれか。 a.誤信念 b.自己中心性 c.社会的参照 d.奥行き知覚 e.延滞模倣 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — c.社会的参照、d.奥行き知覚 視覚的断崖装置は、生後6ヶ月以上のハイハイ段階の乳幼児に対して、透明なガラス板の下に市松模様を配置し、深さの知覚と親の情動反応への対応を同時に観察できる装置です。奥行き知覚(深さへの恐怖反応)と、乳幼児が危険な状況で親の表情や行動を参考にする社会的参照の両方が検討できます。 --- 【各選択肢の解説】 a.誤信念 ❌ 誤り。誤信念課題(Sally-Anne課題など)は、他者の信念状態を理解できるかを検討する心の理論の評価方法です。視覚的断崖装置では測定できません。対象年齢も4~5歳以上であり、断崖装置の対象(6ヶ月以上)と異なります。 b.自己中心性 ❌ 誤り。自己中心性は、Piagetの認知発達理論の前操作期(2~7歳)における特性で、他者の視点を理解できない傾向を指します。視覚的断崖装置では直接測定されません。これは別の課題(3山課題など)で検討されます。 c.社会的参照 ✅ 正しい。乳幼児が不確実な状況(深い淵に見える場所を渡るか判断)で、親の表情や行動を参考にして自分の反応を決定する現象です。生後12ヶ月前後から顕著に観察されます。視覚的断崖装置の重要な測定対象です。 d.奥行き知覚 ✅ 正しい。視覚的断崖装置の最も基本的な測定目的です。乳幼児が深さを知覚し、視覚的な危険信号に対して恐怖反応(ハイハイを止める、泣くなど)を示すかどうかで、奥行き知覚の発達を評価できます。通常6ヶ月以上で明確な反応が見られます。 e.延滞模倣 ❌ 誤り。延滞模倣(deferred imitation)は、観察した行動を時間経過後に再現する能力で、Piagetの感覚運動期(特に段階6)の獲得を示す現象です。視覚的断崖装置では検討できません。 --- 【試験対策ポイント】 視覚的断崖装置(Visual Cliff):Gibson & Walk(1960) | 項目 | 内容 | |---|---| | 構造 | 透明ガラス板の下に市松模様を配置 | | 対象年齢 | 6ヶ月以上のハイハイ段階 | | 測定1:奥行き知覚 | 深さを知覚して越えることを躊躇 | | 測定2:社会的参照 | 親の表情が乳幼児の行動判断に影響 | | 親が励ます | 乳幼児が危険側に進む傾向 | | 親が怖い表情 | 乳幼児が危険側に進まない傾向 | 発達段階における各概念の測定方法: | 概念 | 測定年齢 | 評価方法 | 装置・課題 | |---|---|---|---| | 奥行き知覚 | 6ヶ月~ | 視覚的恐怖 | 視覚的断崖 | | 社会的参照 | 8~12ヶ月~ | 親の感情影響 | 視覚的断崖 | | 延滞模倣 | 12~18ヶ月 | 遅延後の再現 | 複雑な行動観察 | | 自己中心性 | 2~7歳 | 視点取得困難 | 3山課題・展開図 |
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