第16回 言語聴覚士国家試験 第133問
生涯発達心理学第16回
気質について正しいのはどれか 。
a.就学前後に周囲に気づかれる。
b.知能の個人差である。
c.生物学的基盤が想定されている。
d.養育者との適合の良さを考慮する必要がある。
e.A,B,C,Dの4つのタイプがある。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
気質は個人の生まれながらの行動傾向であり、生物学的基盤が想定されています。また気質と環境の適合度(goodness of fit)は発達に大きな影響を与えるため、養育者との関係性を考慮することが重要です。
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【各選択肢の解説】
a. 就学前後に周囲に気づかれる。
❌ 誤り。気質は出生直後から観察可能です。新生児期から異なる気質(泣きやすさ、反応性など)が明確に存在し、決して就学前後に初めて気づかれるものではありません。
b. 知能の個人差である。
❌ 誤り。気質は知能とは独立した概念です。知能は認知能力を示しますが、気質は行動・情動的な反応様式を示す全く異なる特性です。
c. 生物学的基盤が想定されている。
✅ 正しい。気質は遺伝的・神経生物学的基盤を持つと考えられています。脳神経系の特性(神経伝達物質、反応性など)が気質を規定する生物学的基盤となっています。
d. 養育者との適合の良さを考慮する必要がある。
✅ 正しい。Thomas & Chessのgoodness of fit(気質-環境適合)理論が示すように、子どもの気質と養育環境・養育者のスタイルとの相互作用が発達に大きな影響を与えます。気質が「悪い」わけではなく、環境との適合度が重要です。
e. A,B,C,Dの4つのタイプがある。
❌ 誤り。Thomas & Chessの古典的な気質分類では、一般に3つのタイプ(easy child・difficult child・slow-to-warm-up child)が提唱されています。4つのタイプではありません。
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【試験対策ポイント】
気質 vs 人格・性格の違い
| 観点 | 気質 | 人格・性格 |
|---|---|---|
| 形成時期 | 生まれながら(先天的) | 発達経験による(後天的) |
| 基盤 | 生物学的・神経学的 | 学習・経験・文化的 |
| 観察時期 | 新生児期から | 幼児期以降、発達に伴って形成 |
| 変化可能性 | 比較的安定・変わりにくい | 柔軟・変化しやすい |
気質の古典的分類(Thomas & Chess)
- Easy child:反応がポジティブ、適応が良い(約40%)
- Difficult child:反応がネガティブ、適応困難(約10%)
- Slow-to-warm-up child:反応が慎重、順応に時間がかかる(約15%)
- その他・分類不能:約35%
重要な発達心理学概念
- Goodness of fit:気質と環境(特に養育スタイル)との相互作用の適合度
- 親の気質理解:子どもの「difficult」な気質でも、親が理解・対応すれば発達に悪影響を与えない
- 双方向性モデル:子どもの気質が親の対応を引き出し、親の対応が子どもの発達を形成する
紛らわしい知識の区別
- 「気質が観察できるのはいつか」→就学前後ではなく「新生児期から」
- 「気質のタイプは何個か」→4つではなく「3つ+分類不能」