STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第154問

失語症第16回
伝導失語に合併する頻度が最も高いのはどれか 。
  1. 1.肢節運動失行
  2. 2.観念運動性失行 ✓
  3. 3.着衣失行
  4. 4.措抗性失行
  5. 5.歩行失行

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 観念運動性失行 伝導失語は下頭頂葉(supramarginal gyrus)の損傷により生じ、この領域は運動計画と運動実行の統合に関わる。同じく下頭頂葉は観念運動性失行の主要な損傷部位であり、両者が高頻度で合併する。伝導失語患者では復唱と命名能力の解離が特徴的であり、この神経基盤は観念運動性失行の合併を説明する。 --- 【各選択肢の解説】 1. 肢節運動失行 ❌ 誤り。肢節運動失行は運動皮質・運動前皮質の損傷で生じるため、前中心回付近の病巣に関連する。伝導失語の主な損傷部位である下頭頂葉とは異なる神経基盤であり、合併頻度は低い。 2. 観念運動性失行 ✅ 正しい。観念運動性失行は下頭頂葉(特にsupramarginal gyrus)の損傷で生じ、伝導失語の主要な病巣と一致する。両者とも左下頭頂葉の損傷により併発しやすく、伝導失語患者の30~50%に観念運動性失行が合併する。 3. 着衣失行 ❌ 誤り。着衣失行は優位半球の頭頂葉後部~頭頂後頭葉境界領域、特に優位半球側の損傷で生じる。伝導失語の左下頭頂葉損傷とは厳密には異なる局所化であり、合併頻度は比較的低い。 4. 措抗性失行 ❌ 誤り。措抗性失行(また対抗失行)は両側の脳梗塞や進行性核上性麻痺など、広範囲の脳病変で生じる。単一の下頭頂葉損傷では通常出現しないため、伝導失語との合併頻度は最も低い。 5. 歩行失行 ❌ 誤り。歩行失行は正常圧水頭症や前頭葉(補足運動野)損傷で生じる症候であり、下頭頂葉損傷との直接的な関連が薄い。伝導失語患者に特異的に合併することは稀である。 --- 【試験対策ポイント】 失語症と失行の神経基盤の対応 | 失語症・失行の型 | 主要損傷部位 | 合併しやすい失行 | |---|---|---| | Broca失語 | 下前頭回 | 肢節運動失行 | | Wernicke失語 | 上側頭回 | 観念失行は少ない | | **伝導失語** | **下頭頂葉(supramarginal gyrus)** | **観念運動性失行** | | 全失語 | 広範な左半球 | 複数の失行を併発 | 伝導失語の特徴 - 流暢性:流暢 - 理解:良好(音声理解は相対的に保持) - 復唱:著しく不良(特徴的) - 病巣:左下頭頂葉が中核 観念運動性失行の神経基盤 - 下頭頂葉損傷が最も典型的 - 「概念」と「運動実行」の結合障害 - 指示に応じて失行が軽減する可能性がある キーワード:「下頭頂葉」→伝導失語と観念運動性失行の共通病巣
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