第16回 言語聴覚士国家試験 第155問
失語症第16回
書き取りで書ける単語を自発書字では書けない症状をきたすのはどれか。
- 1.聴覚理解障害
- 2.喚語障害 ✓
- 3.書字運動障害
- 4.音韻一文字変換障害
- 5.言語性短期記憶障害
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 喚語障害
喚語障害は特定の概念にアクセスできない機能障害であり、自発的に産出する場面では想起困難ですが、選択肢提示や聴覚的ヒント(書字の場合は視覚的ヒント)が与えられると産出可能になります。書き取り課題では提示刺激があるため「書ける」が、自発書字では無ヒントのため「書けない」という矛盾が生じます。
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【各選択肢の解説】
1. 聴覚理解障害
❌ 誤り。聴覚理解障害があれば、書き取り課題で聞き取った音声を正確に理解できないため、そもそも正確に書くことができません。「書き取りで書ける」という前提条件に矛盾します。
2. 喚語障害
✅ 正しい。概念へのアクセス障害であり、無ヒント状態(自発書字)では想起できませんが、聴覚的刺激としての単語が提示される書き取り場面ではヒント効果により産出可能になります。
3. 書字運動障害
❌ 誤り。書字の運動実行機能が障害されている場合、書き取りと自発書字の両方で同程度に書くことができません。課題による産出可否の差は説明できません。
4. 音韻一文字変換障害
❌ 誤り。聴覚的に入力された音韻を文字に変換する過程の障害です。この場合、書き取り課題自体が困難になるため、「書き取りで書ける」という前提に矛盾します。
5. 言語性短期記憶障害
❌ 誤り。短期記憶障害があれば、書き取り課題でも音声情報を一時保持できず、正確に書くことが困難になります。「書き取りで書ける」という現象と矛盾します。
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【試験対策ポイント】
喚語障害とその他の言語障害の鑑別
| 障害の種類 | 自発産出 | ヒント時 | 理解 | 復唱 |
|---|---|---|---|---|
| 喚語障害 | 困難 | 可能 | 良好 | 良好 |
| 聴覚理解障害 | 困難 | あまり改善しない | 障害 | 不良 |
| 音韻変換障害 | 困難 | あまり改善しない | 良好 | 困難 |
| 運動障害 | 困難 | 困難 | 良好 | 良好 |
重要な考え方:
・「書き取りで書ける=入力・理解・変換は保持されている」→「自発書字で書けない=産出時のアクセスが困難」
・この矛盾を説明できるのは「喚語障害」のみ
・喚語障害の本質=「知識・概念は保持しているが、必要な時に想起できない」
・ヒント効果の有無が鑑別の重要ポイント