第16回 言語聴覚士国家試験 第156問
失語症第16回
ブロ-カ失語について正しいのはどれか 。
a.発語失行の重症度と失語症の重症度とは平行する。
b.全失語からの移行例が ある。
c.文構造が単純化する。
d.復唱が良好である。
e.語漏がみられる
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
ブロ-カ失語は非流暢性失語であり、表出言語に顕著な障害を示す一方で理解は比較的保持されます。正答となるb「全失語からの移行例がある」とc「文構造が単純化する」はいずれもブロ-カ失語の特徴を正しく説明しています。全失語から回復過程でブロ-カ失語を経由することは臨床的に常見であり、また発話が限定的で文法構造が簡略化する傾向も典型的所見です。
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【各選択肢の解説】
a. 発語失行の重症度と失語症の重症度とは平行する。
❌ 誤り。ブロ-カ失語において発語失行と失語症は別現象であり、必ずしも平行しません。発語失行が軽度でも失語は重度の場合があり、その逆も成立します。両者の重症度は独立して変動します。
b. 全失語からの移行例がある。
✅ 正しい。急性期の重篤なブロ-カ失語は全失語に近い状態を呈することがあり、回復過程で言語機能が部分的に復帰してブロ-カ失語へと移行します。この経過は脳卒中後の回復過程で一般的に観察されます。
c. 文構造が単純化する。
✅ 正しい。ブロ-カ失語の典型的特徴として、複雑な文法構造が使用できず、主語・述語のみの短文や助詞の省略など文構造の簡潔化(telegraphic speech)が見られます。
d. 復唱が良好である。
❌ 誤り。ブロ-カ失語では復唱が著しく不良です。これはbrocaの3軸評価(流暢性:非流暢、理解:良好、復唱:不良)に明記されている核心的特徴です。混同しやすいのは超皮質性運動失語(復唱は良好)です。
e. 語漏がみられる。
❌ 誤り。語漏(anomia/ことばの空白)はあらゆるタイプの失語で見られる非特異的症状です。ブロ-カ失語に特異的な症状ではなく、命名失語や他のタイプでも出現するため選択肢の根拠として不十分です。
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【試験対策ポイント】
失語症3軸分類表(ブロ-カ失語の位置づけ):
| タイプ | 流暢性 | 理解 | 復唱 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Broca失語 | 非流暢 | 良好 | 不良 | 運動性・表出中心障害 |
| Wernicke失語 | 流暢 | 不良 | 不良 | 感覚性・理解中心障害 |
| 伝導失語 | 流暢 | 良好 | 著しく不良 | 復唱が最も悪い |
| 超皮質性運動失語 | 非流暢 | 良好 | 良好 | 復唱は保持される |
| 全失語 | 非流暢 | 不良 | 不良 | 最も重症 |
ブロ-カ失語の臨床特徴(頻出ポイント):
・発話は非流暢で短く、努力的(effortful speech)
・聴理解は比較的良好(命令に応じられることが多い)
・復唱は顕著に悪い(聴覚的にも運動的にも負荷が大きい)
・文法要素(助詞・助動詞)が脱落しやすい
・固語(反復言語)が出現することもある
・発語失行が合併しやすいが、失語とは独立した症状
「全失語からの移行」という概念:
・急性期の大