第16回 言語聴覚士国家試験 第158問
失語症第16回
意味システムが損傷されても可能なのはどれか。
- 1.聴覚的理解
- 2.読解
- 3.呼称
- 4.書称
- 5.復唱 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 復唱
意味システムの損傷では、音韻ループ(音韻短期記憶)を経由した復唱は可能であり、聴覚入力を直接音韻出力へ変換する経路が温存されるためです。一方、聴覚的理解・読解・呼称・書称はいずれも意味システムを必須としています。
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【各選択肢の解説】
1. 聴覚的理解
❌ 誤り。聴覚的に入力された言語を理解するには、音韻から意味にアクセスする必要があり、意味システムが損傷されると理解が障害されます。
2. 読解
❌ 誤り。文字を視覚的に入力し理解するプロセスでも、正書法から意味にアクセスするステップで意味システムが関与するため、損傷されると読解が障害されます。
3. 呼称
❌ 誤り。概念→意味→音韻という経路で成立するため、意味システム(語義から音韻への変換)を必須とします。意味システム損傷により呼称は特に障害されやすい機能です。
4. 書称
❌ 誤り。意味システムから正書法への変換経路が損傷されるため、書いて名前をつけることが障害されます。呼称と同様に意味経由の出力機能として影響を受けます。
5. 復唱
✅ 正しい。聴覚入力→音韻短期記憶(音韻ループ)→音韻出力という意味システムを迂回する経路が存在します。伝導失語の患者が意味をなさない語の復唱に成功する理由と同じメカニズムです。
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【試験対策ポイント】
【言語処理モデルの3層構造】
入力層:聴覚的音韻形態・視覚的正書法
↓
意味システム(中枢言語:語の意味・概念へのアクセス)
↓
出力層:音韻形態・正書法
【意味システムを迂回する経路(音韻ループ)】
聴覚入力 → 音韻短期記憶 → 音韻出力 = 復唱
※意味内容は不要。無意味綴りの復唱も可能
【意味システムが必須の機能】
理解(入力)・呼称(出力)・書称(出力)・読解(入力)
【伝導失語との比較】
| 機能 | 伝導失語 | 意味システム損傷 |
|---|---|---|
| 復唱 | 著しく不良 | 保持(正常) |
| 理解 | 良好 | 障害 |
| 呼称 | 不良 | 著しく不良 |
【試験頻出:復唱が保持される失語症型】
伝導失語(音韻短期記憶障害)と意味システム損傷は異なります。本問の意味システム損傷では復唱が相対的に保持される点が重要です。