第16回 言語聴覚士国家試験 第159問
失語症第16回
PACEについて誤っているのはどれか。
- 1.誤り反応の矯正 ✓
- 2.対等な役割分担
- 3.新しい情報の交換
- 4.伝達手段の自由な選択
- 5.伝達内容へのフィードパック
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 誤り反応の矯正
PACEは失語症患者のコミュニケーション能力を高めるための訓練法で、「対等な役割分担」「新しい情報交換」「伝達手段の自由選択」「伝達内容への自由なフィードバック」を特徴とします。誤り反応に対して矯正することは、治療者と患者の対等性を損なうため、PACE の理念に反します。
---
【各選択肢の解説】
1. 誤り反応の矯正
❌ 誤り。PACEの基本理念は患者を「患者」ではなく「コミュニケーション・パートナー」として扱うことです。誤りを矯正する行為は治療者の一方的な指導になり、対等性を損なうため、PACE では行いません。むしろ伝達内容が相手に伝わったかどうかを重視します。
2. 対等な役割分担
✅ 正しい。PACEの中核をなす特徴です。送信者と受信者の役割を交代しながら、両者を対等な立場のコミュニケーション・パートナーとして扱うことが、患者のモチベーション維持と自然なコミュニケーション環境を実現します。
3. 新しい情報の交換
✅ 正しい。単なる言語訓練ではなく、実際に意味のある新しい情報を交換することで、機能的で自然なコミュニケーション活動を実現します。暗唱や反復ではなく、自発的な表出を促します。
4. 伝達手段の自由な選択
✅ 正しい。話言葉・身振り・絵・文字など、患者が自由に選択できる多様な手段を認めることが、PACE の重要な特徴です。これにより患者は自分の強みを活かしたコミュニケーション戦略を発展させます。
5. 伝達内容へのフィードバック
✅ 正しい。治療者は「誤りを指摘する」のではなく、相手が理解したか・伝わったかについての「伝達内容に対する自然なフィードバック」を与えます。これが患者のコミュニケーション意欲を維持します。
---
【試験対策ポイント】
PACE の5つの基本特徴:
| 特徴 | 内容 | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 対等な役割分担 | 送受信者の役割を交代 | 患者の主体性・モチベーション維持 |
| 新しい情報交換 | 意味のある情報のやり取り | 機能的・自然なコミュニケーション |
| 伝達手段の自由選択 | 話言葉・身振り・絵・文字など | 患者の強みを活かす工夫 |
| 伝達内容へのフィードバック | 「伝わったか」の反応 | 自然な相互作用を実現 |
| **誤りを矯正しない** | 矯正・訂正を避ける | 対等性を守る、治療的圧力を減らす |
紛らわしい点:
- 「フィードバック」=「エラー訂正」ではない。治療者が「あなたの発話は間違い」と指摘する行為は PACE では行いません。あくまで「伝達内容が相手に伝わったか」の自然な反応がフィードバックです。