STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第160問

高次脳機能障害第16回
健忘症候群で障害されないのはどれか。
  1. 1.即時記憶 ✓
  2. 2.近時記憶
  3. 3.遠隔記憶
  4. 4.展望記憶
  5. 5.エピソード記憶

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 即時記憶 健忘症候群は、前向性健忘(新しい情報を記銘できない)と逆向性健忘(過去の記憶が想起できない)を特徴とします。しかし即時記憶(ワーキングメモリ)は、脳損傷の直後でも保持される短期的な情報処理能力であり、健忘症候群では相対的に保たれます。 --- 【各選択肢の解説】 1. 即時記憶 ✅ 正しい。即時記憶(span of apprehension)は、呈示されたばかりの情報を数秒間保持する能力であり、健忘症候群では障害されません。これが健忘症候群の診断基準の1つです。 2. 近時記憶 ❌ 誤り。近時記憶は数分~数時間の記憶であり、健忘症候群で著しく障害されます。これは前向性健忘の典型的な現れです。 3. 遠隔記憶 ❌ 誤り。遠隔記憶は数日以上前の出来事の記憶であり、逆向性健忘として障害されます。特に損傷前の古い記憶よりも比較的近い過去の記憶が失われやすいです。 4. 展望記憶 ❌ 誤り。展望記憶は「将来何かをする予定」という予定・計画の記憶です。実行計画機能の障害により健忘症候群で障害されやすく、日常生活支障の大きな要因となります。 5. エピソード記憶 ❌ 誤り。エピソード記憶は個人的な経験・出来事の記憶(「昨日何を食べたか」など)であり、健忘症候群で障害される典型的な記憶です。宣言的記憶に含まれます。 --- 【試験対策ポイント】 記憶分類表(健忘症候群における障害の有無) | 記憶タイプ | 定義 | 健忘症での障害 | 保持期間 | |---|---|---|---| | 即時記憶 | 呈示直後の情報保持(ワーキングメモリ) | ✅ 保持される | 秒単位 | | 近時記憶 | 近い過去の記憶 | ❌ 著しく障害 | 分~時間 | | 遠隔記憶 | 遠い過去の記憶 | ❌ 比較的障害 | 日以上 | | エピソード記憶 | 個人的経験の記憶 | ❌ 著しく障害 | 時間~日 | | 展望記憶 | 将来の計画・予定 | ❌ 障害される | 未来志向 | 健忘症候群の診断的特徴:即時記憶の相対的保持 ← これが他の認知機能低下疾患(認知症など)との鑑別点 紛らわしい区別: - 「近時」vs「遠隔」→時間軸:近時は「今から数時間以内」「遠隔は「月~年単位」が目安 - 「展望記憶」は患者が「忘れている」ことに気づきにくい→実行機能検査で客観的に評価必要
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