第16回 言語聴覚士国家試験 第166問
言語発達障害学第16回
注意欠陥/多動性障害の治療について正しいのはどれか。
a.アトモキセチンが有効である。
b.メチルフェニデートの副作用に食欲不振がある。
c.薬物療法よ り行動療法の方が効果が高い
d.薬物療法は二次障害予防には効果がない。
e.ペアレントトレーニングは有効である。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,b,e
ADHD治療では薬物療法と行動療法・心理社会的介入の組み合わせが推奨されます。正答は「アトモキセチン有効」「メチルフェニデートの食欲不振」「ペアレントトレーニング有効」の3つです。行動療法が薬物療法より効果が高いわけではなく、両者の併用が最良です。また薬物療法は二次障害(不登校・反抗挑戦性障害など)の予防に有効です。
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【各選択肢の解説】
a. アトモキセチンが有効である。
✅ 正しい。アトモキセチンはノルアドレナリン再取り込み阻害薬で、ADHD治療の第一選択薬の一つです。メチルフェニデートと同等の有効性が報告されており、覚醒剤成分を含まないため医師の判断によって選択されます。
b. メチルフェニデートの副作用に食欲不振がある。
✅ 正しい。メチルフェニデート(リタリン)の頻出副作用は「食欲不振・不眠・頭痛」です。特に食欲不振は多く報告されており、投与時間の工夫(夕食後など)で対応されることもあります。
c. 薬物療法より行動療法の方が効果が高い。
❌ 誤り。両者の有効性は「同等またはその時による」が正確です。実際の治療ガイドラインでは薬物療法と行動療法の「併用」が推奨されており、どちらか一方が優位という根拠はありません。子どもの年齢や症状により選択が異なります。
d. 薬物療法は二次障害予防には効果がない。
❌ 誤り。むしろADHD薬物療法は「二次障害予防に有効」です。ADHD症状の改善により、不登校・学習困難・社会的孤立・反抗挑戦性障害などの発生を予防できることが実証されています。
e. ペアレントトレーニングは有効である。
✅ 正しい。ペアレントトレーニング(親訓練)はADHD児への対応スキル向上を目的とした認知行動的介入で、米国ガイドラインでも強く推奨されています。子どもの行動改善だけでなく、親のストレス軽減にも寄与します。
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【試験対策ポイント】
ADHD薬物療法の重要知識:
| 治療薬 | 成分 | 副作用 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| メチルフェニデート | 神経刺激薬 | 食欲不振・不眠・頭痛 | 即効性あり |
| アトモキセチン | ノルアドレナリン再取り込み阻害 | 食欲低下・悪心 | 覚醒剤成分なし |
| グアンファシン | α2agonist | 低血圧・鎮静感 | 衝動性に有効 |
ADHD治療の原則:
- 薬物療法と行動療法の「併用」が最良(どちらか単独ではない)
- ペアレントトレーニング・学校支援も重要な構成要素
- 薬物療法は「根治」ではなく「症状管理」
- 二次障害予防効果あり(むしろ重要な治療目標)
頻出誤解:
- 「薬物療法か行動療法か」ではなく「薬物療法と行動療法」
- メチルフェニデートは「覚醒剤」というイメージで誤解されやすいが、医学的には適応がある場合の有効性は確立