第16回 言語聴覚士国家試験 第171問
言語発達障害学第16回
発達性ディスレキシア(発達性読み書き障害)に対して適切でないのはどれか。
- 1.知能検査を実施する 。
- 2.ボイスメモを活用する。
- 3.学力検査を実施する 。
- 4.ひらがな、カタカナ、漢字の別に検査する 。
- 5.T EACCHプログラムを実施する。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — TEACCHプログラムを実施する
発達性ディスレキシアは読み書き特異的学習困難であり、TEACCHプログラムは自閉症スペクトラム障害(ASD)の行動問題・社会性の発達を目的とした構造化支援です。読み書き能力の向上には直接的な効果がなく、ディスレキシア対応として適切ではありません。
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【各選択肢の解説】
1. 知能検査を実施する
✅ 正しい。発達性ディスレキシアの診断には「全般知能は正常範囲だが読み書きだけ著しく低い」ことを確認する必要があります。WISC-Ⅳで言語理解指標と処理速度指標の不均衡、PS(処理速度)の低下が認められやすいです。
2. ボイスメモを活用する
✅ 正しい。読み書きが困難であるため、音声記録装置を使って講義内容や重要情報を音で保存し、聞き返す方法は実用的な代償手段です。デジタルアシスティブテクノロジーの活用として推奨されます。
3. 学力検査を実施する
✅ 正しい。読み書き能力を客観的に測定するため、対象児の読字速度・読字正確性・書字能力を国語学力検査で評価することは診断と支援計画策定に不可欠です。
4. ひらがな、カタカナ、漢字の別に検査する
✅ 正しい。日本語は3種類の文字体系が混在するため、各文字種別の読み書き能力を分けて評価する必要があります。例えば「ひらがなは読めるが漢字が極めて困難」など、タイプ別対応を可能にします。
5. TEACCHプログラムを実施する
❌ 誤り。TEACCHプログラムは自閉症の人の行動管理・日常生活スキルを構造化によって向上させるプログラムであり、読み書き能力そのものの改善を目的としていません。ディスレキシア対応としての科学的根拠がありません。
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【試験対策ポイント】
発達性ディスレキシアの評価・支援
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 知能検査 | WISC-Ⅳで全般知能は平均以上、処理速度↓が目安 |
| 学力検査 | 読字速度・正確性・読解理解を測定 |
| 言語検査 | 音韻処理・RAN(物体命名速度)に困難あり |
| 文字種別評価 | 日本語の場合:ひらがな・カタカナ・漢字を分けて評価 |
| 代償手段 | ボイスメモ・テキスト読み上げソフト・タイプライター活用 |
限局性学習障害(LD)の定義ポイント
| 概念 | 該当 | 非該当 |
|---|---|---|
| 知能 | 平均以上が多い | 知的障害ではない |
| 神経基盤 | 脳機能の局所的偏り | 一般的発達遅滞ではない |
| 学習困難 | 読み書き・計算など限定的 | 全般的学業不振ではない |
| 環境因 | 親の養育不足・教育不足は除外 | 社会的不利は除外 |
TEACCHプログラムの対象
- 対象:自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 焦点:構造化による行動問題・社会性の改善
- 場面:家庭・学校・就労支援現場
- 読み書き障害への効果:無し(限定的応用は理論的支持なし)