第16回 言語聴覚士国家試験 第174問
音声障害第16回
変声障害について正しいのはどれか 。
a.. 器質的音声障害である 。
b.. 喉頭の枠組み形成が不十分である。
c.. 第二次性徴発現の遅れを伴う。
d.. 声の翻転がみられる。
e.. 発声指導で地声を誘導する 。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d,e
変声障害は思春期における声変わりに関連した障害です。正しい選択肢はdの「声の翻転がみられる」とeの「発声指導で地声を誘導する」です。変声障害では思春期に声がかすれたり途切れたりする翻転現象が特徴で、適切な発声指導により正常な地声の獲得を目指します。
---
【各選択肢の解説】
a. 器質的音声障害である。
❌ 誤り。変声障害は機能的音声障害に分類されます。器質的障害ではなく、発声習慣や心理的要因による機能的問題です。一時的な声の不安定さであり、喉頭の構造的異常がありません。
b. 喉頭の枠組み形成が不十分である。
❌ 誤り。変声障害では喉頭の枠組み形成(甲状軟骨などの発達)は正常に進行しています。むしろ喉頭の成長変化に対して発声機能の適応が遅れている状態です。
c. 第二次性徴発現の遅れを伴う。
❌ 誤り。変声障害は第二次性徴の発現時期は正常ですが、声変わりへの心理的不適応や発声習慣の問題により声の変化がスムーズでない状態です。性徴発現の遅延は伴いません。
d. 声の翻転がみられる。
✅ 正しい。翻転(voice crack)は変声障害の典型的な症状であり、思春期に声がかすれたり途切れたり、急に高くなったり低くなったりする現象を指します。喉頭の成長と発声制御のミスマッチにより生じます。
e. 発声指導で地声を誘導する。
✅ 正しい。変声障害の治療の中心は発声指導であり、適切な呼吸・発声法の指導を通じて正常な地声(modal voice)の獲得を誘導します。多くの場合、保存的治療で改善します。
---
【試験対策ポイント】
変声障害の特徴:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 機能的/器質的 | 機能的音声障害 |
| 発症時期 | 思春期(第二次性徴時) |
| 主症状 | 声の翻転・かすれ・不安定さ |
| 原因 | 喉頭の成長と発声適応の不調和 |
| 喉頭所見 | 通常は異常なし |
| 治療 | 発声指導・音声治療 |
| 予後 | 良好(自然軽快することも) |
機能的vs器質的音声障害の区別:
- 機能的:変声障害、心因性失声、過度な音声酷使(初期)→喉頭所見正常
- 器質的:ポリープ、結節、肉芽腫 →喉頭所見異常あり
変声障害の発声指導のポイント:
- 地声(modal voice)の獲得
- 適切な音程・強度での発話
- 無理のない発声習慣の形成