STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第176問

耳鼻咽喉科学第16回
喉頭摘出後に難しくなるのはどれか。 a.そばをすする b.においを嗅ぐ c.排便時にいきむ d.甘味を感じる e.唾液を飲み込む 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — a,b,c 喉頭摘出後、患者は気道が咽頭と直接つながらなくなり、気管孔造設により生理的な呼吸・嚥下経路が変わります。それに伴い、従来の鼻・口を経由する機能が障害されます。正答のa・b・cはいずれも鼻腔気流依存的な機能であり、喉頭摘出により喪失または著しく困難になります。 --- 【各選択肢の解説】 a. そばをすする ✅ 困難になる。そばをすする際、音を出すには気流を口から鼻に逆流させ、鼻腔を共鳴させる必要があります。喉頭摘出後は軟口蓋下の咽頭が気管孔に直結され、口腔から鼻腔への気流路が遮断されるため、従来の「すする」行為が不可能になります。 b. においを嗅ぐ ✅ 困難になる。正常では、吸気時に気流が鼻腔を通過して嗅上皮を刺激しにおいを感知します。喉頭摘出後は気管孔経由の呼吸となり、鼻腔を通過する気流がきわめて少なくなるため、においの嗅覚が著しく低下します。 c. 排便時にいきむ ✅ 困難になる。いきむ(ヴァルサルバ機動)には、声門閉鎖により気道を遮断して胸腔内圧を高める必要があります。喉頭摘出により声門が消失し、気管孔経由の呼吸になるため、従来の効果的ないきみができず、排便困難や圧外出困難が生じます。 d. 甘味を感じる ❌ 困難にならない。甘味覚は舌前2/3の味蕾(顔面神経Ⅶ支配)と舌後1/3の味蕾(舌咽神経Ⅸ支配)により検出されます。喉頭摘出は気道と音声生成器の摘除であり、味覚伝導路には直接影響を与えません。甘味は通常通り感知できます。 e. 唾液を飲み込む ❌ 困難にならない。嚥下(唾液や食物を飲み込む)は咽頭期の反射的な筋収縮により実行されます。喉頭は嚥下時に声門閉鎖により気道を保護する役割を果たしていますが、喉頭摘出後であっても咽頭咀嚼筋・食道括約筋の機能は温存されており、唾液嚥下は依然可能です。むしろ喉頭摘出により咽頭内圧が異なるため工夫が必要な場合もありますが、「困難にはならない」というのが臨床的認識です。 --- 【試験対策ポイント】 喉頭摘出の影響 | 機能 | 影響の有無 | 理由 | |---|---|---| | 呼吸(鼻腔経由) | あり(著しく減少) | 気管孔造設により気流経路が変わる | | におい嗅覚 | あり(低下) | 鼻腔通過気流の減少 | | いきみ(ヴァルサルバ) | あり(困難) | 声門閉鎖機能の喪失 | | 味覚 | なし | 味蕾・神経経路は温存 | | 嚥下 | なし | 咽頭・食道機能は温存 | 重要な認識ポイント - 喉頭摘出=気道と音声生成装置の喪失。嚥下・味覚機能そのものは残存 - ヴァルサルバ機動の喪失は、排便・排尿・咳嗽すべ
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