STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第182問

運動障害性構音障害第16回
痙性構音障害の発話特徴はどれか。 a.発話速度の低下 b.発話の加速 c.強勢の過剰 d.粗糙性性嘆声 e.開鼻声 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — a,d,e 痙性構音障害は両側錐体路障害(偽性球麻痺)による運動障害性構音障害です。両側の上位運動ニューロン障害により、口腔・咽頭筋群の筋緊張亢進と随意運動の制御困難が生じ、発話速度の低下、粗糙性嗄声、開鼻声といった特徴的な症状が現れます。 --- 【各選択肢の解説】 a. 発話速度の低下 ✅ 正しい。痙性構音障害では両側錐体路障害により筋緊張が亢進し、動作が緩慢になるため発話速度が低下します。これは痙性麻痺の根本的な特徴です。 b. 発話の加速 ❌ 誤り。発話の加速(加速現象)は運動低下性構音障害(パーキンソン病などの錐体外路障害)の特徴です。痙性構音障害では逆に速度低下が見られます。 c. 強勢の過剰 ❌ 誤り。強勢の過剰は失調性構音障害(小脳障害)の特徴で、断綴性発話とともに小脳症候群を特徴づけます。痙性構音障害では強勢の変化は目立ちません。 d. 粗糙性嗄声 ✅ 正しい。痙性構音障害では声帯筋の筋緊張亢進により声帯の閉鎖が不完全になり、粗糙性嗄声(rough voice)が生じます。努力性嗄声とも呼ばれる特徴的な音声特性です。 e. 開鼻声 ✅ 正しい。軟口蓋と咽頭側壁の筋麻痺により、軟口蓋の挙上不全が生じて開鼻声が発生します。痙性構音障害では軟口蓋筋の痙性麻痺が軟口蓋機能を低下させるため、開鼻声が出現します。 --- 【試験対策ポイント】 Mayo分類による5つの運動障害性構音障害の比較: | 障害部位 | 発話速度 | 音声 | 鼻腔通気 | 特徴的症状 | |---|---|---|---|---| | 痙性(両側錐体路) | 低下 | 粗糙性嗄声 | 開鼻声あり | 努力性・徐緩 | | 弛緩性(下位運動ニューロン) | 正常~低下 | 気息性嗄声 | 開鼻声あり | 脱力感 | | 失調性(小脳) | 正常~低下 | 粗糙性嗄声 | 正常 | スキャニング・強勢過剰 | | 運動低下性(錐体外路) | 加速傾向 | 単調/息声 | 正常 | 加速現象・低音量 | | 混合性(ALS) | 様々 | 様々 | 開鼻声あり | 部位による | 重要な否定知識: - 粗糙性嗄声=痙性 or 失調性(弛緩性は気息性) - 開鼻声=痙性 or 弛緩性(失調性・運動低下性には出ない) - 加速=運動低下性のみ(痙性では速度低下) - 強勢過剰=失調性のみ(痙性には出ない) 頻出の誤答パターン: 「粗糙性嗄声と失調性を混同」「加速現象と痙性を結びつける」
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