第16回 言語聴覚士国家試験 第185問
嚥下障害第16回
嚥下内視鏡検査で誤っているのはどれか。
- 1.嚥下機能全体を評価できる。 ✓
- 2.検査食には着色水を用いることが多い。
- 3.器質的および機能的異常の有無も観察する 。
- 4.ベッドサイドでの施行が可能である。
- 5.誤嚥に対応して吸引や酸素の準備が望ましい。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 嚥下機能全体を評価できる。
嚥下内視鏡検査(VE: Videoendoscopic Evaluation of Swallowing)は、咽頭の観察に優れていますが、嚥下の嚥下反射発生時にホワイトアウト(視野喪失)が起こるため、咽頭期全体を直視下で観察することはできません。そのため「嚥下機能全体」の評価は不可能であり、この選択肢が誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 嚥下機能全体を評価できる。
❌ 誤り。嚥下反射発生時にホワイトアウトが生じ、反射後の咽頭通過や食道への流入を直視観察できません。そのため、咽頭期全体は評価困難であり、嚥下機能全体の評価はできません。VEの評価対象は主に先行期・口腔準備期・口腔移送期と、咽頭期前の様子に限定されます。
2. 検査食には着色水を用いることが多い。
✅ 正しい。着色水(メチレンブルーやグリーンダイを用いた水)を用いることで、誤嚥の有無を視認性良く観察できます。これはVEの標準的な検査食です。
3. 器質的および機能的異常の有無も観察する。
✅ 正しい。VEでは咽頭の腫瘍・狭窄などの器質的病変の同時観察と、咽頭蠕動や声帯動きなどの機能的異常の把握が可能です。このため、診断的価値が高いとされています。
4. ベッドサイドでの施行が可能である。
✅ 正しい。ポータブル内視鏡装置の発展により、ベッドサイドでの検査が広く行われています。患者移動負担が少なく、実施から結果説明までが迅速です。
5. 誤嚥に対応して吸引や酸素の準備が望ましい。
✅ 正しい。VE中に誤嚥が生じた場合、すぐに患者の気道内に吸引が必要になる可能性があります。また、気道閉塞のリスクもあるため、酸素供給装置の準備は安全管理上必須です。
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【試験対策ポイント】
嚥下検査法の比較表
| 項目 | VE(内視鏡) | VFSS(造影) | 神経学的検査 |
|---|---|---|---|
| 先行期 | ○ | ○ | × |
| 口腔準備期 | ◎ | ◎ | × |
| 口腔移送期 | ◎ | ◎ | × |
| **咽頭期全体** | ❌ ホワイトアウトで困難 | ◎ | × |
| 食道期 | × | ◎ | × |
| 器質的異常 | ◎ | ◎ | × |
| ベッドサイド実施 | ○ | × (X線透視室) | ○ |
| 誤嚥時対応 | 要吸引・酸素準備 | 限定的 | — |
**VE特有のキーワード**
- ホワイトアウト:嚥下反射時の視野喪失(完全には評価不可の理由)
- 着色水:標準検査食
- リアルタイム観察:咽頭前の様子は優れた視認性
- ベッドサイド実施可:患者移動負担が少ない(高齢・重症患者に有利)
**医学的背景**
嚥下反射の誘発時、咽頭壁が喉頭に向かって収縮するため内視鏡の視野が一時的に遮蔽されます。これはVEの根本的な制限であり、咽頭期全体