STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第186問

嚥下障害第16回
輪状咽頭筋切断術について正しいのはどれか。 a.合併症には反回神経損傷がある。 b.喉頭挙上術と同時に実施することはない。 c.気管切開術を必要とする。 d.挙上期型誤嚥に有効である。 e.術後は嚥下後の逆流に留意する。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,e 輪状咽頭筋切断術(cricopharyngeal myotomy)は、咽頭期誤嚥や食道入口部の通過障害を改善する手術です。正答となる「a.反回神経損傷が合併症」と「e.術後は嚥下後の逆流に留意」の両方が正しい記述です。この手術は食道入口部の筋緊張を低下させるため、逆流リスクが増加するという重要な臨床知識が問われています。 --- 【各選択肢の解説】 a. 合併症には反回神経損傷がある。 ✅ 正しい。輪状咽頭筋切断術では、反回神経が手術野を走行するため、神経損傷による嗄声が合併症として起こりえます。特に外側アプローチで左側反回神経の損傷リスクが存在します。 b. 喉頭挙上術と同時に実施することはない。 ❌ 誤り。輪状咽頭筋切断術と喉頭挙上術(喉頭前方固定術)は、異なる目的で同時に実施されることがあります。嚥下困難の原因が複数ある場合、両方の手術を組み合わせることは臨床上ありえます。 c. 気管切開術を必ず必要とする。 ❌ 誤り。輪状咽頭筋切断術は必ずしも気管切開術を必要としません。嚥下機能の改善が目的であり、気管切開の適応は呼吸管理の必要性とは別です。気管切開が必要になるかは、患者の全身状態と誤嚥リスクで判断されます。 d. 挙上期型誤嚥に有効である。 ❌ 誤り。輪状咽頭筋切断術は「食道入口部の通過障害」(咽頭から食道への通過不全)に有効です。挙上期型誤嚥(嚥下前に誤嚥が起こる)はむしろ口腔期や咽頭期前半の障害が原因であり、この術式の適応ではありません。 e. 術後は嚥下後の逆流に留意する。 ✅ 正しい。輪状咽頭筋は食道入口部の括約機能を持つため、この筋を切断すると食道入口部の圧が低下し、嚥下後の逆流や鼻腔への逆流が起こりやすくなります。術後管理の重要なポイントです。 --- 【試験対策ポイント】 輪状咽頭筋切断術の適応・合併症・術後管理: | 項目 | 内容 | |---|---| | 目的 | 食道入口部(咽頭食道接合部)の通過障害改善 | | 対象誤嚥型 | 咽頭期誤嚥(嚥下後の通過不全)※挙上期型ではない | | 合併症 | 反回神経損傷(嗄声)、迷走神経損傷 | | 術後リスク | 逆流(嚥下後・鼻腔への)、むせ | | 気管切開の関係性 | 不要(呼吸管理とは別問題) | | 他の手術との併用 | 喉頭挙上術などと同時施行あり | **「挙上期型誤嚥」と「咽頭期誤嚥」の違い** - 挙上期型:喉頭挙上前に誤嚥=口腔・咽頭期前半の問題→喉頭挙上術が有効 - 咽頭期:嚥下後の食道入口部通過障害=輪状咽頭筋切断術が有効
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