STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第191問

小児聴覚障害第16回
聴覚障害児における書記リテラシー形成の指導について誤っている のはどれか
  1. 1.言語獲得期の文字の使用
  2. 2.手話による音韻表象の形成 ✓
  3. 3.絵日記による経験の文字化
  4. 4.絵本の読み聞かせ
  5. 5.読書行動の形成

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 手話による音韻表象の形成 手話は視覚言語であり、音韻表象(音声言語の音の心理的表象)の形成に直結しません。書記リテラシーの形成には、音韻認識と文字の対応が重要ですが、手話は「手指という別の様態」であるため、この音韻表象形成の経路として機能しないのが根拠です。聴覚障害児が書記リテラシーを習得する際には、補聴器や人工内耳による限定的な音声情報、あるいは視覚的な文字学習が有効ですが、手話のみではこの音韻レベルの表象が形成されにくい点が誤りの所以です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 言語獲得期の文字の使用 ✅ 正しい。聴覚障害児は音声言語の習得が困難なため、言語獲得期から計画的に文字を入力することで、文字を言語システムの核として機能させることができます。早期の文字接触は書記リテラシー形成の基盤となります。 2. 手話による音韻表象の形成 ❌ 誤り。手話は視覚言語であり、音の心理的表象(音韻表象)の形成には寄与しません。書記リテラシー習得には音韻認識が重要ですが、手話では「手の形・位置・動き」という視覚的情報処理が中心となり、音韻レベルでの対応が成立しません。 3. 絵日記による経験の文字化 ✅ 正しい。絵日記は具体的な経験を視覚的に記録したうえで文字化する活動であり、聴覚障害児が意味のある文脈の中で文字を使用する実践的な方法です。経験→文字という往還過程が言語獲得を促進します。 4. 絵本の読み聞かせ ✅ 正しい。聴覚障害児に対しても、画像と文字の組み合わせにより、読み手が手話や口話で内容を伝えながら文字を指さす「読み聞かせ」は効果的です。物語文法の習得と語彙拡大の重要な機会となります。 5. 読書行動の形成 ✅ 正しい。書記リテラシー形成の最終段階として、自発的な読書習慣の形成は不可欠です。聴覚障害児が文字を通じて主体的に意味を構築する経験の積み重ねが、高度なリテラシー能力へと発展します。 --- 【試験対策ポイント】 | 項目 | 聴覚障害児のリテラシー形成 | |---|---| | **音韻表象** | 補聴・人工内耳による音声入力、または文字の視覚的認識で形成。手話では形成されない ❌ | | **早期文字導入** | 言語獲得期から計画的に実施。音声言語の代替・補完 ✅ | | **視覚的手がかり** | 絵本・絵日記など、画像と文字の組み合わせが有効 ✅ | | **文脈的学習** | 経験→文字化という具体的な活動が効果的 ✅ | | **読書習慣** | 自発的な読書を通じた高度なリテラシー習得 ✅ | **頻出ポイント** - 「手話=言語」は正しいが、「手話=音韻表象」は誤り(別様態) - 聴覚障害児の書記リテラシーは「文字-意味」の直結が中心 - 読み聞かせは手話・口話による補助が前提
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