第16回 言語聴覚士国家試験 第192問
小児聴覚障害第16回
発見の遅れた重度聴覚障害児に生じる音声の特徴について誤っているのはどれか。
- 1.声の翻転
- 2.鼻音化音声
- 3.抑揚の平坦化
- 4.発話速度の増加 ✓
- 5.強さの爆発的な変動
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 発話速度の増加
発見の遅れた重度聴覚障害児は、聴覚フィードバックの欠如により音声制御が困難になります。発話速度は「低下」または「不規則」になることが特徴で、「増加」することはありません。むしろ、自分の音声を聞き取れないため、慎重に、ゆっくり話す傾向を示します。
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【各選択肢の解説】
1. 声の翻転
✅ 正しい。聴覚障害児は自分の声の高さを適切に制御できず、声が不安定に上下することがあります。これは聴覚フィードバック喪失による音声基本周波数の制御不全を示します。
2. 鼻音化音声
✅ 正しい。軟口蓋の挙上制御が聴覚フィードバックに依存するため、鼻腔への空気漏出が増加し、鼻音化(鼻にかかった音声)が生じます。特に摩擦音で顕著です。
3. 抑揚の平坦化
✅ 正しい。イントネーションやアクセント制御が聴覚に基づいているため、聴覚障害により声調が単調になり、抑揚が失われます。これは「単調な話し方」として聴き手に知覚されます。
4. 発話速度の増加
❌ 誤り。発見が遅れた重度聴覚障害児の発話速度は「低下」または「不規則」であり、増加しません。自分の音声が聞こえないため、慎重で遅い発話になるか、調整できない不安定な速度になります。
5. 強さの爆発的な変動
✅ 正しい。音量調整が聴覚フィードバックに完全に依存するため、会話相手や環境に応じた音圧調整ができず、音声強度が不適切に変動します。時に異常に大きく、時に小さくなります。
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【試験対策ポイント】
発見遅延重度聴覚障害児の音声特徴(聴覚フィードバック欠如による)
| 特徴 | 原因 | 臨床的意義 |
|---|---|---|
| 声の翻転(pitch break) | 音声基本周波数制御不全 | 不安定な音声高さ |
| 鼻音化音声 | 軟口蓋挙上制御障害 | 摩擦音で顕著 |
| 抑揚の平坦化 | イントネーション制御喪失 | 単調な話し方 |
| 音声強度の爆発的変動 | 音圧フィードバック欠如 | 音量制御不可 |
| 発話速度 | **低下または不規則**(増加しない) | 聴き取り難い |
キーワード:「聴覚フィードバック喪失」→ 自己監視ができない → 音声の「制御不全」を示す症状
頻出の誤解:発話速度「増加」と「低下」の区別
- 難聴児:速度低下(自分の声が聞こえないので慎重になる)
- 健聴児の早口症:速度増加(神経過敏性など言語機能の問題)