第16回 言語聴覚士国家試験 第195問
成人聴覚障害第16回
70 歳の男性。60 歳ごろから徐々に聴力低下。平均聴力レベル両耳70db、最高語音明瞭度右耳 65%、左耳 60%。正しいのはどれか 。
- 1.身体障害者手帳の交付対象となる。 ✓
- 2.語音了解閾値は50dBである。
- 3.人工内耳の適応がある。
- 4.機能性難聴が疑われるo
- 5.伝音難聴が疑われる。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 身体障害者手帳の交付対象となる。
本症例は両耳平均聴力レベル70dB、最高語音明瞭度が右耳65%・左耳60%であり、身体障害者福祉法による聴覚障害の等級認定基準を満たします。両耳の平均聴力が70dB以上で、かつ語音明瞭度が50%以上70%未満の場合は3級に該当します。
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【各選択肢の解説】
1. 身体障害者手帳の交付対象となる。
✅ 正しい。身体障害認定基準では、両耳の平均聴力が70dB以上かつ最高語音明瞭度が50%以上であれば3級として認定されます。本症例はこれに該当するため、手帳の対象となります。
2. 語音了解閾値は50dBである。
❌ 誤り。語音了解閾値(speech recognition threshold:SRT)とは、語音が会話として理解できる最小音圧レベルであり、通常は純音聴力検査の平均値と比較して決まります。本症例の平均聴力が70dBであれば、SRTはおおよそ70dB前後と推定されます。50dBは低すぎます。
3. 人工内耳の適応がある。
❌ 誤り。人工内耳の適応基準は、両耳の平均聴力が90dB以上、かつ補聴器装用による最高語音明瞭度が50%以下であることが一般的です。本症例は70dBで、かつ語音明瞭度が60~65%あるため、補聴器による改善が期待でき、人工内耳の対象にはなりません。
4. 機能性難聴が疑われる。
❌ 誤り。機能性難聴では、聴力検査間に矛盾が生じ、聴力レベルと語音明瞭度が不一致になることが特徴です。本症例は聴力低下の経過が明確で、聴力と語音明瞭度が矛盾していないため、器質的難聴(加齢性難聴)が疑われます。
5. 伝音難聴が疑われる。
❌ 誤り。本症例は両耳対称性で加齢とともに徐々に進行する難聴であり、感音難聴の特徴です。伝音難聴であれば、骨導聴力は正常範囲に保たれ、気骨導差が認められるはずですが、加齢性難聴は骨導も低下する感音難聴です。
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【試験対策ポイント】
身体障害者手帳(聴覚障害)認定基準
| 等級 | 両耳平均聴力 | 最高語音明瞭度 |
|---|---|---|
| 2級 | 100dB以上 | — |
| 3級 | 70dB以上 | 50%以上70%未満 |
| 4級 | 60dB以上70dB未満(両耳)または一側は90dB以上 | 70%以上 |
| 6級 | 40dB以上 | — (平衡機能障害も含む) |
人工内耳の適応基準(日本の一般的基準)
- 両耳平均聴力:90dB以上
- 補聴器装用最高語音明瞭度:50%以下
- 本症例は70dBで補聴器効果が期待でき、適応外
加齢性難聴の特徴
- 両耳対称性、高音域から低下
- 骨導も低下(感音難聴)
- 進行は緩徐
- 語音明瞭度の低下は聴力低下より軽度
機能性難聴との鑑別ポイント
- 聴力検査間の矛盾がない=器質的難聴
- 聴力検査間に著しい