第16回 言語聴覚士国家試験 第196問
聴力検査第16回
図に示す語音弁別検査結果の解釈で正しいのはどれか。
a.語音了解閾値は 100 dB である。
b.語音弁別能は90dBで55%である。
c.普通の会話は聞き取れない。
d.ロールオーバー現象はない。
e.補聴器を装用しでも効果は得られない 。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
この問題は、語音弁別検査の結果から、患者の聴覚状態と予後を多角的に判断する力を試しています。図の検査結果を正確に読み取り、各記述の医学的妥当性を評価することが重要です。
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【各選択肢の解説】
a. 語音了解閾値は100dBである。
❌ 誤り。語音了解閾値(SDS曲線が50%に到達する音圧レベル)は、通常70~80dB程度です。100dBは検査の最大出力であり、了解閾値そのものではありません。図からは明記されていない可能性がありますが、選択肢の記述は過度に高すぎます。
b. 語音弁別能は90dBで55%である。
✅ 正しい。図の検査結果から、90dBでの語音弁別能(SDS値)が55%であることが読み取れます。これは中等度の低下を示す値です。
c. 普通の会話は聞き取れない。
✅ 正しい。普通の会話音圧レベルは60~70dB程度です。この患者の検査結果では、その音圧レベル帯での語音弁別能が著しく低く、会話音での弁別が困難であることを示唆しています。また、最大弁別能が55%程度に留まっていることから、たとえ音量を上げても聞き取り精度は改善されにくい状態です。
d. ロールオーバー現象はない。
❌ 誤り。図の結果から、ロールオーバー現象(音圧上昇に伴い語音弁別能が低下する現象)が認められる可能性が高いです。特に後迷路性難聴(例:聴神経腫瘍)で典型的に見られます。
e. 補聴器を装用しても効果は得られない。
❌ 誤り。最大弁別能が55%であることは、補聴器の効果が限定的であることを示唆しますが、「効果は得られない」という絶対的な否定は不正確です。補聴器による音量補償により、日常会話の理解度は改善される可能性があります。また、後迷路性難聴の場合でも、補聴器は有用なことが多いです。
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【試験対策ポイント】
語音弁別検査(SDS)の読取りと解釈:
| 項目 | 説明 | 臨床意義 |
|---|---|---|
| 語音了解閾値 | SDS曲線が50%に到達する音圧レベル | 通常70~80dB程度(異常:80dB以上) |
| 最大弁別能 | 各音圧での最高のSDS値 | 80%以上:正常、60~80%:軽~中等度低下、60%未満:高度低下 |
| ロールオーバー現象 | 音圧上昇で弁別能が低下 | 後迷路性難聴(聴神経腫瘍など)を示唆 |
重要な否定知識:
- 「効果は得られない」という選択肢は医学的に慎重。最大弁別能が55%程度なら、補聴器による音量補償は一定の効果を持つ
- 語音了解閾値「100dB」という記述は、最大出力音圧と混同した誤り
- 普通の会話(60~70dB)での弁別能が低いことが「聞き取れない」の根拠
会話音圧レベル:
- ささやき声:30~40dB
- 普通の会話:60~70dB
- 大声:80~90dB