STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第27問

学習心理学第16回
短期記憶と長期記憶とが独立に存在することを示すのはどれか。
  1. 1.順向抑制
  2. 2.文脈依存性
  3. 3.系列位置効果 ✓
  4. 4.体制化
  5. 5.場所法

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 系列位置効果 系列位置効果(serial position effect)は、記憶材料をリスト呈示したときに「最初の方と最後の方の項目は覚えやすく、中間の項目は覚えにくい」という現象です。これは初頭効果(長期記憶への符号化が進む)と近事効果(短期記憶に残存)が異なるメカニズムで生じることから、短期記憶と長期記憶の独立性を最も直接的に証明する現象です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 順向抑制 ❌ 誤り。順向抑制は、先行する学習課題が後続する課題の記憶を阻害する現象です。短期記憶と長期記憶の関係を直接示すものではなく、むしろ一つの記憶システム内での干渉を説明するメカニズムです。 2. 文脈依存性 ❌ 誤り。文脈依存性は、学習時の環境や状況が想起時に再現されると記憶成績が向上する現象です。記憶の検索効率に関する現象であり、短期記憶と長期記憶の独立性を示す証拠ではありません。 3. 系列位置効果 ✅ 正しい。リスト呈示時に、初頭効果(最初の項目は長期記憶に深く符号化される)と近事効果(最後の項目は短期記憶に一時的に保持される)という異なるメカニズムが作動します。この効果は短期記憶と長期記憶が独立して機能することの強い証拠です。 4. 体制化 ❌ 誤り。体制化(チャンキング)は、情報を意味のある単位にまとめることで記憶容量を増やす戦略です。短期記憶の容量拡張に関する概念であり、二つの記憶システムの独立性を示しません。 5. 場所法 ❌ 誤り。場所法(方法)は、記憶術の一種で、暗記したい情報を空間的位置に配置する長期記憶の符号化戦略です。両記憶システムの関係を実証する現象ではありません。 --- 【試験対策ポイント】 系列位置効果の構造: | 項目の位置 | 系列位置 | メカニズム | 記憶システム | |---|---|---|---| | 最初 | 初頭効果 | リハーサルの時間充分 | 長期記憶 | | 中間 | 最悪効果 | 干渉が大きい | 共通(不利) | | 最後 | 近事効果 | 短期記憶に保持中 | 短期記憶 | キーポイント: - 系列位置効果=短期記憶と長期記憶の独立性の最強の証拠 - 初頭効果を消すには短期記憶への干渉(二次課題)を導入 - 近事効果を消すには呈示後に遅延を挿入 - 系列位置効果は心理学の古典的現象(Ebbinghaus以来) 人名関連:Atkinson & Shiffrin の多重貯蔵モデルで確立された概念
関連

▶ 第16回 全問一覧

▶ 学習心理学 の過去問一覧