第16回 言語聴覚士国家試験 第30問
臨床心理学第16回
正しいのはどれか 。
- 1.認知療法は認知症に効果がある。
- 2.クライアント中心療法は共感を重視する。 ✓
- 3.遊戯療法はソーシャルスキル向上のために開発された。
- 4.箱庭療法は自前の玩具を持参して行う。
- 5.精神分析療法は短期の問題解決を目指す。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — クライアント中心療法は共感を重視する。
クライアント中心療法(person-centered therapy)はカール・ロジャーズが提唱した心理療法であり、「共感的理解」「無条件の肯定的配慮」「自己一致」の3つの条件を治療者が示すことが治療の核とされています。特に共感は、クライアントの内的世界を治療者が理解し、その理解をクライアントに示すプロセスを通じて心理的変化をもたらします。
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【各選択肢の解説】
1. 認知療法は認知症に効果がある。
❌ 誤り。認知療法(Beck, Albert Ellis)は、認知的歪み(思考パターンの偏り)を是正することで感情障害(主にうつ病・不安障害)の改善を目指します。一方、認知症は神経変性疾患であり、認知機能の器質的低下が原因であるため、認知療法のような心理療法による認知機能の直接的な改善は期待できません。認知症患者には環境調整やバリデーション療法が適応です。
2. クライアント中心療法は共感を重視する。
✅ 正しい。ロジャーズが提唱したクライアント中心療法の最大の特徴は、治療者が「共感的理解」を示すことです。クライアント自身の内的世界を判断せず理解する態度が、自己実現を促進し、心理的な成長と問題解決につながるとされています。
3. 遊戯療法はソーシャルスキル向上のために開発された。
❌ 誤り。遊戯療法(play therapy)は、子どもが言語化困難な心理的葛藤や外傷(トラウマ)を遊びを通じて表現・処理し、心理的な解放と統合を促すことを目的に開発されました。ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは異なる理論的背景を持っています。遊戯療法は感情処理が主目的であり、社会技能習得が主目的ではありません。
4. 箱庭療法は自前の玩具を持参して行う。
❌ 誤り。箱庭療法(sandplay therapy)は、治療者が用意した豊富な玩具や砂のセット(砂箱)を使用して行います。クライアント(特に子ども)が自由に砂箱内に情景を作り出すプロセスを通じて、無意識の世界を表現します。クライアントが玩具を持参することはなく、治療施設に備え付けられた統一化された教材セットが用いられます。
5. 精神分析療法は短期の問題解決を目指す。
❌ 誤り。精神分析療法(psychoanalysis, Freud)は「深層心理への洞察」を目指す長期の心理療法です。無意識の葛藤や幼少期の経験を扱うため、週複数回の面接を数年間行うのが標準的です。短期の問題解決を目指すのは認知行動療法(CBT)や短期動機づけ面接(MI)などであり、精神分析療法の特性ではありません。
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【試験対策ポイント】
| 心理療法 | 主な開発者 | 重視する要素 | 対象・特性 |
|---|---|---|---|
| クライアント中心療法 | ロジャーズ | 共感・無条件の肯定的配慮・自己一致 | 長期、自己実現志向 |
| 認知療法 | ベック、エリス | 認知的歪みの是正 | 短期、うつ・不安障害 |
| 精神分析療法 | フロイト | 無意識への洞察 | 長期(週複数回、数年) |
| 遊戯療法 | ― | 感情表現・トラウ