第16回 言語聴覚士国家試験 第60問
失語症第16回
失語症の訓練について誤っているのはどれか。
- 1.刺激法では反応を強制するのではなく引き出す。
- 2.遮断除去法では障害されているモダリティを前刺激として用いる。 ✓
- 3.拡大・代替コミュニケーション(AAC)の1つとして身振りの使用がある
- 4.プログラム学習法ではスモールステップを重視する。
- 5.認知神経心理学的アブローチでは障害されているモジュールを特定する
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 遮断除去法では障害されているモダリティを前刺激として用いる
遮断除去法は「**障害されていない**モダリティを前刺激として用いる」ことが定義です。設問は「障害されているモダリティ」と逆に述べており誤りです。例えば聴理解が不良なBroca失語患者に対して、視覚刺激(文字・画像)を前刺激として呈示し、その後に音声刺激を与えることで、視覚的サポートによって聴理解を促進させる手法です。
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【各選択肢の解説】
1. 刺激法では反応を強制するのではなく引き出す。
✅ 正しい。刺激法(刺激促進法)は患者の自発的応答を引き出すことを原則とします。答えを強制的に言わせるのではなく、適切な刺激条件を設定することで自然な言語産出を促進させる訓練法です。
2. 遮断除去法では障害されているモダリティを前刺激として用いる。
❌ 誤り。遮断除去法は「障害されていない」モダリティ(保存されている経路)を前刺激として用いることで、障害されたモダリティへの入力を促進させます。このため、設問の説明は完全に逆です。
3. 拡大・代替コミュニケーション(AAC)の1つとして身振りの使用がある。
✅ 正しい。AACには身振り・ジェスチャー、筆談、文字盤、音声合成装置など多様な手段が含まれます。失語症患者の残存能力を活用したコミュニケーション手段であり、重要な介入方法です。
4. プログラム学習法ではスモールステップを重視する。
✅ 正しい。プログラム学習法(プログラム学習)は小さく段階的なステップで学習内容を構成し、成功体験を積み重ねることで学習効果を高める方法です。スモールステップと正強化が原則です。
5. 認知神経心理学的アブローチでは障害されているモジュールを特定する。
✅ 正しい。認知神経心理学的アプローチは、言語処理の認知モデル(入力側:音韻分析→意味→音韻出力など)のどのモジュールが障害されているかを詳細に分析し、障害されたモジュール機能を標的にした訓練を行います。
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【試験対策ポイント】
訓練法ごとの「対象」「前刺激」「原則」を整理:
| 訓練法 | 前刺激の特徴 | キー概念 |
|---|---|---|
| 遮断除去法 | 障害**されていない**モダリティ | 保存経路の活用 |
| 刺激法 | 適切な刺激条件 | **強制しない**&引き出す |
| プログラム学習 | 段階的・小ステップ | 成功体験の積み重ね |
| AAC | 多様な代替手段 | 残存能力の活用 |
| 認知神経心理学的 | モジュール分析に基づく | 障害部位の特定→標的化 |
紛らわしいポイント:「遮断除去法」は「障害されている」のではなく「**されていない**」を選ぶ。