第16回 言語聴覚士国家試験 第61問
失語症第16回
後天性小児失語症で誤っているのはどれか。
- 1.伝導失語もみられる。
- 2.脳の可塑性が 高い。
- 3.純粋語聾を示す一群がある。
- 4.文字言語の習得に影響する。
- 5.聴覚的理解は保たれる。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 聴覚的理解は保たれる。
後天性小児失語症は、言語獲得後の脳損傷によって生じる失語症です。成人失語症とは異なり、脳の可塑性が高いため比較的良好な予後が期待できますが、聴覚的理解を含めた言語機能全般が障害される可能性があります。選択肢5は「聴覚的理解は保たれる」と絶対的に断定していることが誤りです。実際には、損傷部位によっては聴覚的理解が障害されるケースが存在します。
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【各選択肢の解説】
1. 伝導失語もみられる。
✅ 正しい。後天性小児失語症では、成人失語症と同じく伝導失語を含む様々なタイプの失語症が出現する可能性があります。損傷部位が弓状束など伝導経路に及べば伝導失語が生じます。
2. 脳の可塑性が高い。
✅ 正しい。小児期の脳は成人脳よりも可塑性(神経可塑性)が高く、他の脳領域が言語機能を代償しやすいため、成人失語症よりも回復の可能性が高いとされています。
3. 純粋語聾を示す一群がある。
✅ 正しい。純粋語聾(聴覚失語:音韻聴覚失語)は、聴覚は正常だが話された言葉の音韻理解が困難な症候で、後天性小児失語症にも出現する一群として報告されています。
4. 文字言語の習得に影響する。
✅ 正しい。失語症は言語機能全般に影響するため、音韻・意味・統語の障害は文字言語(読み書き)の習得にも直結します。失語症児の学習支援では、この点が重要な課題となります。
5. 聴覚的理解は保たれる。
❌ 誤り。後天性小児失語症では、損傷部位によって聴覚的理解が障害されることがあります。特に上側頭葉後部(Wernicke領域)の損傷では、聴覚入力の言語理解が著しく低下します。「保たれる」と絶対化することは不正確です。
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【試験対策ポイント】
後天性小児失語症の特徴整理:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 言語獲得後の脳損傷による失語症 |
| 予後 | 成人より良好(脳可塑性が高い) |
| タイプ | 成人と同じ全失語症タイプが出現可能 |
| 特徴的症候 | 純粋語聾などを示す一群がある |
| 影響範囲 | 聴覚理解・表出・読み書き全て障害可能 |
重要:「後天性小児失語症は○○が常に保たれる」という選択肢は常に疑う。
失語症は損傷部位によって症状が異なるため、機能が「常に」保たれることはありません。