第16回 言語聴覚士国家試験 第62問
高次脳機能障害第16回
高次脳機能について正しいのはどれか 。
a.利き手は側性化に関連する。
b.視空問機能には局在がある。
c.病巣と症状は一対一対応する 。
d.脳損傷後に機能局在は変化しない。
e.高次脳機能障害は 白質病巣では生じない。
正答:1番
解説
■ 正答:a番 — 利き手は側性化に関連する。
利き手の決定には脳の側性化(左半球優位性)が関連しており、多くの人で優位半球と利き手が一致します。特に言語機能や運動制御の左半球優位性は、利き手の決定と深い関連があります。他の選択肢は高次脳機能の局在性についての誤解を含んでいます。
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【各選択肢の解説】
a. 利き手は側性化に関連する。
✅ 正しい。利き手は脳の側性化(脳の左右非対称性)と関連しており、左半球優位の言語機能や運動制御が優位手の決定に影響します。右利きが圧倒的多数派であることも、左半球優位性と一致します。
b. 視空間機能には局在がある。
❌ 誤り。視空間機能は右半球後部(特に頭頂葉)に局在するという「局在仮説」は古い考え方です。実際には視空間処理は両半球の協調的ネットワークで実行され、単一局在では説明できません。
c. 病巣と症状は一対一対応する。
❌ 誤り。高次脳機能障害では病巣と症状の対応は必ずしも単純ではありません。同じ部位の病巣でも異なる症状が生じることがあり、また分散ネットワークの障害が症状を引き起こすため、一対一対応しません。
d. 脳損傷後に機能局在は変化しない。
❌ 誤り。脳損傷後、特に小児や若年者では神経可塑性により機能局在が変化します。健全な領域が損傷された機能を代償する例が多数報告されており、機能局在は固定的ではありません。
e. 高次脳機能障害は白質病巣では生じない。
❌ 誤り。白質(神経線維)の障害は脳領域間の連絡を遮断するため、高次脳機能障害を引き起こします。むしろ白質病巣は認知機能低下や注意障害などの高次脳機能障害の重要な原因です。
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【試験対策ポイント】
脳の機能局在と神経可塑性の関係
| 概念 | 説明 | 誤解しやすい点 |
|---|---|---|
| 側性化 | 脳機能が左右どちらかに優位 | 利き手=側性化の指標の一つ |
| 機能局在 | 特定機能が特定部位に位置する | 固定的ではなく可塑性あり |
| 神経可塑性 | 脳損傷後の機能再編成 | 小児ほど高い。成人でも存在 |
| ネットワーク処理 | 複数領域の協調 | 単一病巣=単一症状ではない |
重要な否定知識
- 病巣と症状の「一対一対応」は成立しない
- 白質病巣は高次脳機能障害を「生じる」(生じないではない)
- 脳損傷後も機能局在は「変化する」(変化しないではない)
- 視空間機能は「ネットワーク処理」(単一局在ではない)
キーワード:神経可塑性、分散ネットワーク、側性化、機能再編成