STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第64問

高次脳機能障害第16回
日常生活活動に支障をきたさないのはどれか。
  1. 1.着衣失行
  2. 2.拮抗性失行
  3. 3.観念性失行
  4. 4.肢節運動失行
  5. 5.口舌顔面失行 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 口舌顔面失行 口舌顔面失行は、口・舌・顔面の筋肉を随意に動かす際に生じる失行であり、これらの領域は日常生活活動(ADL)の中核的機能ではありません。一方、他の4つの失行はすべて、衣類の着脱・道具の使用・物体の操作など、基本的なADLに直結した動作の障害です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 着衣失行 ❌ 誤り。衣類を正しい順序で着用できず、袖に腕を通せない、前後を逆に着用するなど、日常生活に支障をきたします。頭頂葉病変に伴うことが多い。 2. 拮抗性失行 ❌ 誤り。一方の手がもう一方の手の動作を妨害する障害で、例えば片手でボタンをかけようとしているときにもう一方の手がそれを邪魔する症状。日常動作全般に支障をきたします。 3. 観念性失行 ❌ 誤り。道具の使用順序や目的が分からず、例えば歯ブラシを逆さまに使うなど、複雑な多段階動作ができません。食事・更衣・整容など多くのADLに支障が生じます。 4. 肢節運動失行 ❌ 誤り。四肢の個別的な動きが障害される失行で、例えば握手をするときに手首や手指を独立して動かせず、肘全体を動かしてしまいます。日常動作全般に支障をきたします。 5. 口舌顔面失行 ✅ 正しい。口唇・舌・顔面などの動きに限定した失行であり、口笛を吹く、頬を膨らませるなど、随意的な表情や言語音声化に影響はありますが、衣類の着脱・食事・排泄など、基本的なADLは相対的に保たれることが多い。 --- 【試験対策ポイント】 失行症の分類と ADL への影響度 | 失行のタイプ | 障害される動作 | ADL支障度 | 主な病変部位 | |---|---|---|---| | 着衣失行 | 衣類の着脱・順序決定 | 高い | 頭頂葉・後部連合野 | | 拮抗性失行 | 両手の協調動作 | 高い | 脳梁・補足運動野 | | 観念性失行 | 多段階道具使用・目的決定 | 高い | 下頭頂葉・後部側頭葉 | | 肢節運動失行 | 肢体の個別的な細動き | 高い | 頭頂葉運動野 | | 口舌顔面失行 | 口唇・舌・顔面の随意動作 | 低い | 下前頭葉・島皮質 | 重要な鑑別点: - ADLに支障をきたすのは「四肢・体幹の動作」に関わる失行 - 口舌顔面失行は「表情・咀嚼・音声」に限定→基本的生活動作は保持されやすい - 「日常生活活動に支障をきたさない」という問題設定では、最も機能的負荷が低い領域を選ぶ
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