STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第7問

臨床神経学第16回
アカラシアでみられないのはどれか。
  1. 1.嚥下障害
  2. 2.器質的狭窄 ✓
  3. 3.胸痛
  4. 4.下部食道圧の上昇
  5. 5.食道残漬の口腔内逆流

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 器質的狭窄 アカラシアは「下部食道括約筋(LES)の弛緩不全」を特徴とする一次性食道運動障害です。最大の特徴は、内視鏡検査では食道に明らかな狭窄(潰瘍、腫瘍、線維化など)が認められないという点です。つまり、器質的狭窄(構造的な障害)は存在しないのに、機能障害によって嚥下困難が生じます。 --- 【各選択肢の解説】 1. 嚥下障害 ✅ 正しい。アカラシアの最主要症状です。LES弛緩不全により食物が食道から胃へ通過しにくくなり、嚥下時の違和感や嚥下困難が生じます。 2. 器質的狭窄 ❌ 誤り。アカラシアの定義そのものが「器質的狭窄が認められない食道運動障害」です。内視鏡検査では正常または軽度の食道拡張のみで、潰瘍・腫瘍・瘢痕などの構造的障害はみられません。これが二次性アカラシア(がんによる狭窄など)との鑑別点です。 3. 胸痛 ✅ 正しい。食道内圧上昇と痙攣性収縮に伴う胸痛(特に夜間)がみられます。患者が「胸が詰まる感じ」「痛みがある」と訴えることは多いです。 4. 下部食道圧の上昇 ✅ 正しい。高圧帯として測定されるLES基礎圧が上昇します。同時にLESの弛緩が不完全(残留圧が正常値より高い)という特徴があります。食道内圧測定(manometry)で診断確定します。 5. 食道残漬の口腔内逆流 ✅ 正しい。食物が食道内に停滞し、夜間の仰臥位時に口腔内に逆流することがあります。これは嚥下後の食物残留物が重力に逆らって上がるもので、逆流性食道炎とは異なります。 --- 【試験対策ポイント】 ■ アカラシアの鑑別ポイント表 | 特徴 | 所見 | |---|---| | 内視鏡 | 器質的狭窄「なし」(≠二次性アカラシア) | | 食道造影 | 「鳥くちばし様」狭窄(LES狭窄部) | | 圧測定 | LES高圧帯・弛緩不全 | | 症状 | 嚥下困難・胸痛・食道残漬 | ■ 「器質的狭窄がない」が診断根拠 - アカラシア=機能障害(LES弛緩不全) - 器質的狭窄あり=二次性アカラシアを疑う(悪性腫瘍など)→内視鏡で狭窄部の病理確認が必須 ■ よくある誤り 「嚥下困難=狭窄」と単純に考えると落とす。アカラシアは筋の"収縮異常"による嚥下困難であり、狭窄という構造的問題ではありません。
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