第16回 言語聴覚士国家試験 第76問
音声障害第16回
喉頭麻庫について誤っている のはどれか。
- 1.治療前に原因検索を優先する 。
- 2.披裂軟骨脱臼 との鑑別が必要である。
- 3.両側性麻痩では呼吸困難が問題となる。
- 4.一側性麻痺は右側に多い ✓
- 5.麻痺声帯の位置によって症状が変化する。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 一側性麻痺は右側に多い
反回神経麻痺は「左側に圧倒的に多い」ことが音声医学の重要な知識です。左反回神経は大動脈弓に巻き込まれるため、大動脈瘤などの胸部病変で障害されやすく、臨床的に左側麻痺が右側の約2倍以上の頻度で報告されています。選択肢4の「右側に多い」という記述は医学的誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 治療前に原因検索を優先する
✅ 正しい。喉頭麻痺は機能性疾患ではなく、反回神経の障害が原因です。特に一側性麻痺では脳腫瘍・肺癌・甲状腺癌・大動脈瘤など重篤な器質的疾患が潜在していることがあるため、喉頭鏡検査やCT/MRI等による原因検索が治療に先立つ必須の検査です。
2. 披裂軟骨脱臼との鑑別が必要である
✅ 正しい。披裂軟骨脱臼も喉頭麻痺と同様に声帯の位置異常を呈するため、鑑別診断が重要です。両者の区別には喉頭ストロボスコピー(声帯の可動性の評価)や筋電図検査(神経電気活動の有無)が用いられます。脱臼は受動的に整復可能であり、麻痺は神経再生を待つ必要があるため、治療方針が大きく異なります。
3. 両側性麻痺では呼吸困難が問題となる
✅ 正しい。両側性喉頭麻痺は極めて稀ですが、発症した場合、両声帯が正中~傍正中位に固定され、気道が高度に狭窄するため、呼吸困難が主要な症状となります。嗄声より呼吸困難が優先的に対処すべき問題となり、気管切開や喉頭形成術が必要になることもあります。
4. 一側性麻痺は右側に多い
❌ 誤り。反回神経麻痺の疫学データでは「左側が右側の約2倍以上の頻度」で報告されています。理由は、左反回神経が大動脈弓に巻き込まれるため、大動脈瘤や左肺尖部病変による障害頻度が高いためです。つまり正しくは「左側に多い」が医学的事実です。
5. 麻痺声帯の位置によって症状が変化する
✅ 正しい。声帯の固定位置により症状が大きく異なります:傍正中位→著明な嗄声・吸気性喘鳴、正中位→呼吸困難が顕著、外側位→嗄声は軽度ですが誤嚥リスク。つまり位置と臨床症状の対応理解が診断・治療に不可欠です。
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【試験対策ポイント】
反回神経麻痺の左右差(最頻出):
| 側性 | 頻度 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 左側 | 約60〜70% | 大動脈弓関連病変(大動脈瘤)、左肺尖部病変 |
| 右側 | 約30〜40% | 右肺癌、甲状腺疾患 |
声帯位置と症状の関係:
| 固定位置 | 嗄声 | 呼吸困難 | 誤嚥 |
|---|---|---|---|
| 傍正中位 | 著明 | あり | なし |
| 正中位 | 中等度 | 著明 | なし |
| 外側位 | 軽度 | なし | あり |