第16回 言語聴覚士国家試験 第77問
音声障害第16回
心因性失声症について誤っている のはどれか。
- 1.発症は急である。
- 2.転換性障害である ととが多い。
- 3.心理療法が必要である。
- 4.発声時に声門は閉鎖している 。 ✓
- 5.咳払いから発声を誘導するのは有効である 。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 発声時に声門は閉鎖している
心因性失声症の最大の特徴は、発声時に声門が**開大したまま接触しない**ことです。器質的異常がなく、心理的要因により声門が動員されない状態であり、発声時に声門閉鎖があれば、それは音声障害ではなく他の疾患を疑うべきです。
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【各選択肢の解説】
1. 発症は急である。
✅ 正しい。心因性失声症は突然の喉頭違和感に続いて急性に発声不能になることがほとんどです。ストレスイベント(感情的ショック・過労など)の直後に発症することが典型的です。
2. 転換性障害であることが多い。
✅ 正しい。心因性失声症は転換性障害(心理的葛藤が身体症状に転換)に分類されます。身体的検査で異常がなく、心理社会的ストレスとの関連が認められます。DSM-5では「身体症状症および関連症群」に含まれています。
3. 心理療法が必要である。
✅ 正しい。心理社会的要因が主体であるため、言語聴覚療法と並行して心理療法(認知行動療法・支持的精神療法)が必須です。医学的治療だけでは改善しない場合が多いです。
4. 発声時に声門は閉鎖している。
❌ 誤り。この選択肢が正答です。心因性失声症の音声学的特徴は、発声時に**声門が開大したまま、声帯の接触がない**ことです。呼気は流出し続けるため、ほぼ無声の息が漏れるのみで、音声が産生されません。声門閉鎖があれば、それは麻痺性音声障害や他の器質的疾患を疑うべき徴候です。
5. 咳払いから発声を誘導するのは有効である。
✅ 正しい。これは心因性失声症の古典的かつ有効な言語聴覚療法技法です。咳払いやため息は無意識的・反射的に行われるため声門が閉鎖しており、この正常な声門機能を利用して、意識的な発声に繋げていく誘導法は実績があります。
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【試験対策ポイント】
心因性失声症の診断および鑑別に必要な知識:
| 項目 | 心因性失声症 | 麻痺性音声障害(比較) |
|---|---|---|
| 声門の状態(発声時) | 開大・非接触 | 一側閉鎖不全または両側麻痺 |
| 発症様式 | 急性 | 段階的または急性(原因による) |
| 咳払い・ため息 | 正常 | 異常(嗄声あり) |
| 他覚的異常 | なし | あり(喉頭ファイバーで確認) |
| 心理社会的要因 | 明確 | なし |
重要な否定知識:
- 「心因性失声症=声門閉鎖」は誤りの思い込み(実際は反対)
- 単なる心理療法だけでは不足→ST療法と並行が必須
- 咳払いテストで正常な音が出ることは診断の強い根拠