第16回 言語聴覚士国家試験 第78問
音声障害第16回
下咽頭食道接合部が振動部位となるのはどれか。
a.咽頭発声
b.食道発声
c.気管食道瘻
d.笛式人工喉頭
e.電気式人工喉頭
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
下咽頭食道接合部(咽頭食道接合部)が振動部位となるのは、食道発声と気管食道瘻です。食道発声は食道に貯留した空気を逆流させて接合部粘膜を振動させ、気管食道瘻は気管からの空気流が直接接合部を振動させるため、いずれも下咽頭食道接合部が音源となります。
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【各選択肢の解説】
a. 咽頭発声
❌ 誤り。咽頭発声は咽頭粘膜が振動部位です。咽頭弓の咽頭肌層を振動させることで音を産生するため、下咽頭食道接合部ではなく上咽頭付近で振動が起こります。
b. 食道発声
✅ 正しい。食道に貯留した空気を食道下部から逆流させ、下咽頭食道接合部(新声帯)の粘膜を振動させて音声を産生します。喉頭摘出患者における代用音声の代表的な方法です。
c. 気管食道瘻
✅ 正しい。喉頭摘出時に気管と食道の間に瘻孔を形成し、気管からの呼気を直接下咽頭食道接合部に流入させて接合部粘膜を振動させます。食道発声より音源が安定しており、明瞭性が高いとされています。
d. 笛式人工喉頭
❌ 誤り。笛式人工喉頭は肺からの呼気により装置内部の簧簧(リード)または口唇を振動させて音を産生します。振動部位は装置本体または口唇であり、下咽頭食道接合部ではありません。
e. 電気式人工喉頭
❌ 誤り。電気式人工喉頭は電池で駆動される振動子が自励振動して音を産生し、この音が口腔内に導入されます。振動部位は装置内の振動子であり、下咽頭食道接合部ではありません。
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【試験対策ポイント】
代用音声法における振動部位(音源)の整理
| 方法 | 振動部位(音源) | 特徴 |
|---|---|---|
| 咽頭発声 | 咽頭粘膜 | 技習困難・習得率低い |
| 食道発声 | 下咽頭食道接合部 | 習得可能だが習熟に時間 |
| 気管食道瘻 | 下咽頭食道接合部 | 音源が安定・明瞭性高い |
| 笛式人工喉頭 | 簧簧/口唇 | 物理的装置・機械音 |
| 電気式人工喉頭 | 装置内振動子 | 簡便・習得容易・機械音 |
重要な区別:
- 「下咽頭食道接合部が振動部位」=生理的な音源
- 「人工喉頭」=装置本体が音源を提供