STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第81問

器質性構音障害第16回
鼻咽腔閉鎖機能不全に関係するのはどれか。 a.鼻雑音 b.鼻渋面 c.側音化構音 d.鼻咽腔構音 e.声門破裂音 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,b,e 鼻咽腔閉鎖機能不全は、軟口蓋や咽頭側壁の運動不全により、鼻咽腔(鼻腔と咽頭をつなぐ部位)が十分に閉鎖されない状態です。これにより、呼気や音声が鼻腔に漏出し、鼻雑音(a)や鼻渋面(b)が生じます。また、補償的代用構音として声門破裂音(e)が出現します。 --- 【各選択肢の解説】 a. 鼻雑音 ✅ 正しい。鼻咽腔閉鎖機能不全では、口腔で形成された音が鼻腔に漏出するため、鼻音化やナゾアリティと呼ばれる鼻雑音が生じます。特に非鼻音(口音)が鼻音化する「hyponasal」が代表的です。 b. 鼻渋面 ✅ 正しい。軟口蓋麻痺などにより鼻咽腔が閉鎖できないと、音声時に軟口蓋や咽頭側壁の不十分な運動が視認され、「鼻渋面」(鼻声)として聴覚的に認識されます。 c. 側音化構音 ❌ 誤り。側音化構音は、舌の正中線からの逸脱により[s]が[θ]のような側音に聞こえる現象です。これは舌位置の問題であり、鼻咽腔閉鎖機能不全とは無関係です。 d. 鼻咽腔構音 ❌ 誤り。鼻咽腔構音(咽頭音)は、音源を鼻咽腔に移す代用構音ですが、これは鼻咽腔閉鎖機能不全の「結果」として出現する補償的構音ではなく、むしろ構音器官の別の部位での問題と言えます。試験の文脈では「鼻咽腔閉鎖機能不全に直接関係する」ものではないと判断されます。 e. 声門破裂音 ✅ 正しい。鼻咽腔閉鎖機能不全で呼気が鼻腔に漏出するため、口腔内の呼気圧が低下します。この圧不足を補うため、声門で強い破裂を作る補償的代用構音である声門破裂音が出現します。 --- 【試験対策ポイント】 鼻咽腔閉鎖機能不全の直接症状と代用構音 | 項目 | 分類 | 説明 | |---|---|---| | 鼻雑音 | 直接症状 | 口腔音が鼻腔漏出→ナゾアリティ | | 鼻渋面 | 直接症状 | 音声時の軟口蓋・咽頭側壁運動不全が聴覚印象として | | 声門破裂音 | 補償構音 | 呼気圧低下→声門で代用破裂を形成 | | 側音化構音 | 無関係 | 舌の正中逸脱(歯列不正・舌小帯短縮など) | | 鼻咽腔構音 | やや異なる | 咽頭音源の代用構音 | 紛らわしい点:「鼻咽腔」という言葉が含まれるため「d.鼻咽腔構音」を選びたくなるが、これは現象の説明ではなく構音の種類名であり、鼻咽腔閉鎖「機能不全」に対する直接的な関係性(原因→結果)ではない。
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