STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第80問

器質性構音障害第28回
舌萎縮患者に用いるのはどれか。
  1. 1.PAP ✓
  2. 2.PLP
  3. 3.Hotz 床
  4. 4.エピテーゼ
  5. 5.バルブ型スピーチエイド

正答:1番

解説
# 第28回 第80問 解説 ■ 正答:1番 — PAP 舌萎縮患者では、舌の細小化に伴う口腔内容積の増加に対応する必要があります。**PAP(Palatal Augmentation Prosthesis)**は舌を代替する補綴装置として、口蓋を下方に拡張し舌との接触面積を増やすことで、破裂音や破擦音などの閉鎖を要する音の構音を補助します。舌萎縮に対する機能的補綴の第一選択肢です。 --- 【各選択肢の解説】 1. PAP(口蓋拡張床) ✅ **正しい。** 舌萎縮に対応するため、口蓋を下方に拡張(上げる)して舌との作業距離を短縮し、閉鎖性音の産生を補助します。舌萎縮患者の構音改善に最も有効な補綴装置です。 2. PLP(舌位置保持板) ❌ 誤り。舌の位置を受動的に保持する装置で、舌萎縮による容積減少に対応するものではありません。舌切除後の舌位置管理には用いられることがあります。 3. Hotz床(Hotz plate) ❌ 誤り。唇顎口蓋裂患者(特に乳幼児)の早期補綴として、歯槽骨片を整位し哺乳を補助する装置です。舌萎縮への対応ではありません。 4. エピテーゼ ❌ 誤り。欠損した顔面・口腔組織の外形を補填・修復する装置(例:鼻欠損、眼窩欠損)。舌萎縮のような容積減少への機能的補綴ではなく、主に審美目的です。 5. バルブ型スピーチエイド ❌ 誤り。鼻咽腔閉鎖不全(VPI)患者が開鼻声を改善するための装置で、咽頭に突出したバルブが軟口蓋の動きを補助します。舌萎縮とは無関係です。 --- 【試験対策ポイント】 **補綴装置の適応の鑑別**は器質性構音障害の重要テーマです。以下のマトリクスで整理すると有効です: | 装置名 | 対象疾患・障害 | 主な機能 | |---|---|---| | **PAP** | **舌萎縮・舌欠損** | 口蓋下方拡張・舌との接触面積↑ | | Hotz床 | 唇顎口蓋裂(乳幼児) | 歯槽骨片整位・早期哺乳補助 | | スピーチエイド | 鼻咽腔閉鎖不全(VPI) | 咽頭バルブで軟口蓋補助 | | エピテーゼ | 顔面欠損(鼻・眼窩など) | 審美的外形補填 | **舌萎縮が構音に及ぼす影響**: - 舌容積の減少により**破裂音([p,t,k])や破擦音([ts,tʃ])の閉鎖形成が困難**になります - **[s]のシビラント音も歯間での狭窄が弱くなり**、高周波成分の減少による音響変化が起こります - PAPの口蓋下方拡張により、減少した舌との距離を物理的に補い、これらの音の産生を助けます **核心ポイント**:舌萎縮=**「舌の物理的容積が減る」**→口腔内で構音のための接触面が得られない→**「装置で口蓋を下げる」という代償的アプローチ**。一方、VPI(鼻咽腔機能不全)では「咽頭に突出物を
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