STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第115問

器質性構音障害第28回
正しいのはどれか。 a.口唇裂・口蓋裂の日本人の発症は2,000出生に1例である。 b.口唇裂の手術は生後1年で行われる。 c.口蓋裂の手術の目的は裂の閉鎖と鼻咽腔閉鎖機能の回復である。 d.口蓋裂に滲出性中耳炎が合併しやすい。 e.咽頭弁手術は口唇裂に行われる二次手術である。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:4番

解説
# 第28回 第115問 解説 ## ■ 正答:4番 — c, d 口蓋裂の外科的管理と合併症に関する基本的な知識を問う問題です。**c(口蓋裂手術の目的)** と **d(滲出性中耳炎の合併)** が正しいです。 --- ## 【各選択肢の解説】 **a. 口唇裂・口蓋裂の日本人の発症は2,000出生に1例である** ❌ **誤り。** 日本人における口唇裂・口蓋裂の発症頻度は約**500~600出生に1例**です。これは「Rule of 1000」として覚える国際的な目安に比べると高い頻度です。a の「2,000出生に1例」は発症頻度を過度に低く見積もっており、正確ではありません。 --- **b. 口唇裂の手術は生後1年で行われる** ❌ **誤り。** 口唇裂の手術は **Millardの原則「生後3ヶ月・体重6kg・ヘモグロビン10g/dL」** に従い、できるだけ早期(**生後3~6ヶ月**)に行われます。これを「3 of 10」と呼ぶこともあります。生後1年は遅すぎであり、不正確です。 --- **c. 口蓋裂の手術の目的は裂の閉鎖と鼻咽腔閉鎖機能の回復である** ✅ **正しい。** 口蓋裂手術(一次修復)の主要な目的は: - ①**硬口蓋・軟口蓋の裂を閉鎖すること** - ②**鼻咽腔(咽頭)の閉鎖機能を回復すること** 鼻咽腔閉鎖機能の改善により、開鼻声(鼻音声)や代償構音(声門破裂音・咽頭摩擦音)の発生を予防します。手術は一般的に**生後12~18ヶ月**に行われます。 --- **d. 口蓋裂に滲出性中耳炎が合併しやすい** ✅ **正しい。** 口蓋裂では**軟口蓋を挙上させる筋(口蓋帆張筋など)が異常付着**しており、耳管の機能不全を引き起こします。その結果: - **滲出性中耳炎の合併率が著しく高い**(70~90%の報告も) - ティンパノメトリーB型を示す - **伝音難聴を継発**する可能性がある このため、口蓋裂児は聴覚スクリーニング・定期的な中耳検査が不可欠です。鼓膜チューブの挿入を要することもあります。 --- **e. 咽頭弁手術は口唇裂に行われる二次手術である** ❌ **誤り。** 咽頭弁(咽頭形成術)は **口蓋裂に対する二次手術** であり、**口唇裂ではありません**。 - **対象**:口蓋裂の一次修復後も鼻咽腔閉鎖不全が残存している場合 - **目的**:咽頭壁から粘膜弁を作成し鼻咽腔を補強し、開鼻声や代償構音を改善する - **時期**:通常は口蓋形成術の1~2年後(4~6歳ごろ) 口唇裂の二次手術には「鼻形成術」「上唇瘢痕形成術」などが該当します。 --- ## 【試験対策ポイント】 ### 口唇口蓋裂の管理スケジュール(必暗記) | 手術内容 | 時期 | 目的 | |---|---|---| | 口唇形成術
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