第28回 言語聴覚士国家試験 第18問
器質性構音障害第28回
口腔鼻腔瘻として残る顎裂に対して顎裂部二次骨移植術を行った。術後直ちに改善されるのはどれか。
- 1.歯列
- 2.肺活量
- 3.咬合力
- 4.嚥下機能
- 5.発話時口腔内圧 ✓
正答:5番
解説
# 第28回 第18問 解説
■ 正答:5番 — 発話時口腔内圧
顎裂部二次骨移植術により、口腔と鼻腔の間の物理的な隔壁が再建されるため、発話時に口腔内で生成された呼気が鼻腔へ漏出するのを防止でき、発話時口腔内圧が術後直ちに回復します。他の選択肢は解剖学的修復だけでは即座に改善されない要素であり、骨移植の直接的効果として最も早く現れるのが口腔内圧の保持です。
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【各選択肢の解説】
1. 歯列
❌ 誤り。歯列の改善には矯正治療が必要であり、骨移植後数か月〜数年を要します。骨移植は歯の萌出スペース確保や歯槽骨の連続性回復を目的としますが、歯列そのものが術直後に整うわけではありません。
2. 肺活量
❌ 誤り。肺活量は呼吸筋力と肺容量に依存し、顎裂の有無とは直接関係しません。骨移植は呼吸機能に影響を与えません。
3. 咬合力
❌ 誤り。移植骨が生着し、十分な骨強度を得るには数か月〜1年以上を要します。術直後の移植骨は未成熟であり、咬合力の向上はすぐには得られません。また歯列矯正や補綴治療との併用が必要です。
4. 嚥下機能
❌ 誤り。嚥下機能は咽頭・喉頭の形態と運動機能に依存し、顎裂部の骨欠損との直接的関連は乏しいため、骨移植によって直ちに改善する要素ではありません。
5. 発話時口腔内圧
✅ 正しい。顎裂により口腔と鼻腔が交通していると、発話時の呼気が鼻腔へ漏出し、閉鎖音(/p//t//k/)や摩擦音(/s//ʃ/)で必要な口腔内圧が保てません。骨移植により口腔鼻腔瘻が閉鎖されると、呼気漏出が直ちに防止され、口腔内圧が確保されます。
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【試験対策ポイント】
**顎裂部二次骨移植術**は、学童期(**7〜12歳頃**、犬歯萌出前)に行うのが一般的です。目的は以下の通り整理して覚えましょう。
- **即時的効果**:口腔鼻腔瘻の閉鎖による**発話時口腔内圧の保持**(=開鼻声・呼気鼻漏出の改善)
- **長期的効果**:歯槽骨の連続性回復、犬歯の萌出誘導、歯列矯正の基盤形成、咬合力向上、上顎骨の安定
**「術後直ちに」改善するか「時間を要する」かを区別する**のが本問のポイントです。歯列・咬合力は長期的、肺活量・嚥下機能は無関係、口腔内圧のみが即時に改善します。
また、顎裂に伴う構音障害では**鼻咽腔閉鎖不全(VPI)**との違いにも注意が必要です。VPIは軟口蓋・咽頭壁の機能不全が原因であり、骨移植では改善しません。顎裂部の口腔鼻腔瘻による呼気漏出と、VPIによる鼻咽腔からの漏出は**別機序**である点を整理しておきましょう。