STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第84問

運動障害性構音障害第16回
脳梗塞発症後1年の50代男性。 単語の復唱では正しい音が生成できるが、短文の復唱で鼻音化が出現し、文章音読、会話でその頻度が増した。適切な対応はどれか. a.ブローイング b.ハミング c.アイシング d.フレージング e.パラタルリフト 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:3番

解説
# 第16回 第84問 解説 ■ 正答:3番 — a,d,e(ブローイング・フレージング・パラタルリフト) 本症例は、発話量・言語負荷の増加に伴って鼻音化(開鼻声)が増強するパターンを示しています。これは軟口蓋(鼻咽腔閉鎖)機能の低下を示唆する所見で、呼気が鼻腔へ漏れることで鼻音化が生じます。鼻咽腔閉鎖機能不全に対しては、**呼気圧・鼻咽腔閉鎖を意識させる訓練(ブローイング)**、**発話を区切って閉鎖機能の負担を減らす方法(フレージング)**、**軟口蓋を機械的に補助する装置(パラタルリフト)** が有効です。 --- 【各選択肢の解説】 a. ブローイング ✅ 正しい。吹く動作により鼻咽腔閉鎖を促し、軟口蓋挙上と呼気の口腔内圧維持を訓練できます。鼻漏れ(鼻音化)の改善に直接的に有効です。 b. ハミング ❌ 誤り。ハミングは**あえて鼻腔共鳴を使う**発声であり、鼻咽腔を開放する方向の運動です。鼻音化(鼻咽腔閉鎖不全)の改善には逆効果となるため不適切です。 c. アイシング ❌ 誤り。アイシングは筋への寒冷刺激による促通・抑制手技で、本症例の鼻咽腔閉鎖機能不全による鼻音化には直接の適応がありません。 d. フレージング ✅ 正しい。発話を短く区切ることで、一息あたりの呼気・閉鎖機能の負担を軽減し、長い発話で増悪する鼻音化を抑えることができます。負荷増加で悪化する本症例に適しています。 e. パラタルリフト ✅ 正しい。軟口蓋を機械的に挙上・支持する補綴装置で、鼻咽腔閉鎖不全による鼻音化を物理的に補正します。軟口蓋機能低下例の標準的対応です。 --- 【試験対策ポイント】 本問の核心は**「鼻音化=鼻咽腔閉鎖機能不全」**への対応を選ぶことです。 | 手技 | 鼻咽腔閉鎖への効果 | 適否 | |---|---|---| | ブローイング | 閉鎖促通・呼気圧維持 | ○ | | フレージング | 発話を区切り負担軽減 | ○ | | パラタルリフト | 軟口蓋を機械的に補助 | ○ | | ハミング | **鼻腔共鳴を使う=開放方向** | ×(鼻音化に逆効果) | | アイシング | 寒冷刺激(促通/抑制)、適応外 | × | ひっかけポイント: - **ハミングは鼻音化の訓練ではない**。むしろ鼻にかける発声であり、開鼻声には不適切。ここを誤って選ぶと選択肢2を選んでしまう。 - 「負荷(発話量)の増加で鼻音化が増悪」=鼻咽腔閉鎖機能の易疲労性を示唆 → **フレージングで負担軽減**が有効、という流れを押さえる。 - パラタルリフトは鼻咽腔閉鎖不全に対する代表的な**補綴的アプローチ**として頻出。 キーワード:鼻音化(開鼻声)→鼻咽腔閉鎖機能不全→ブローイング・フレージング・パラタルリフトで対応。
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