第16回 言語聴覚士国家試験 第89問
聴力検査第16回
新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査について正しいのはどれか。
- 1.自動ABRを3回まで実施する。
- 2.親子聞の愛着が形成されてから結果を知らせる。
- 3.ABRの結果は髄鞘形成が確実になる満1歳以降にのみ信用できる。
- 4.ASSRの闇値の推定誤差は中等度難聴耳の方が健聴耳より小さい。 ✓
- 5.刺激音としてトーンピップを使うとABRで250Hzの聴力評価ができる
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — ASSRの閾値の推定誤差は中等度難聴耳の方が健聴耳より小さい
ASSR(聴性定常反応)の閾値推定精度は、被検者の難聴の程度に依存します。中等度難聴耳では広帯域の周波数で神経活動が活性化しやすく、信号検出がより安定する傾向があり、結果として推定誤差が健聴耳より小さくなります。これはASSRの臨床的特性として重要な知識です。
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【各選択肢の解説】
1. 自動ABRを3回まで実施する。
❌ 誤り。新生児聴覚スクリーニング検査の流れ(通常は自動ABRが初回)で確定診断のためには、通常「2回以上の検査」で確認(回数制限がない場合が多い)。「3回まで」という限定は根拠がありません。むしろ必要に応じて複数回実施し、結果の信頼性を確保することが原則です。
2. 親子間の愛着が形成されてから結果を知らせる。
❌ 誤り。新生児聴覚スクリーニングは「早期発見・早期療育」が目的であり、愛着形成を待つ必要はありません。難聴が疑われる場合は、心理社会的配慮をしつつも、可能な限り迅速に保護者に伝える必要があります。遅延は貴重な発達時期を失わせます。
3. ABRの結果は髄鞘形成が確実になる満1歳以降にのみ信用できる。
❌ 誤り。ABRは「髄鞘化が不完全でも」新生児期から検査が可能です。新生児の自動ABRは生後3~7日のスクリーニング検査として確立した方法です。「満1歳以降のみ信用できる」は過度な制限で、むしろ早期検査が利点です。
4. ASSRの閾値の推定誤差は中等度難聴耳の方が健聴耳より小さい。
✅ 正しい。ASSRは40Hz程度の周波数でドライブされた神経反応を測定しますが、中等度難聴耳では周波数解析が相対的に安定し、推定誤差が小さくなる傾向があります。これはASSRの技術的特性として認識されています。
5. 刺激音としてトーンピップを使うとABRで250Hzの聴力評価ができる。
❌ 誤り。ABRで周波数別の聴力評価を行う場合、トーンピップは「時間分解能が悪く、低周波」の評価が困難です。特に250Hzのような低周波は波形が不鮮明になり、V波の同定が難しくなります。ABRで低周波評価を行う場合は、より周波数選択性の高い刺激(チェスパ音など)の使用が原則です。
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【試験対策ポイント】
新生児聴覚スクリーニングと精密検査の流れ
| 検査段階 | 検査方法 | 実施時期 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| スクリーニング(初回) | 自動ABR(OAE併用の場合も) | 生後3~7日 | 短時間・簡便・効率性重視 |
| スクリーニング(再検) | 生後1か月以内 | 結果確認 |
| 精密検査 | ABR・ASSR・行動聴力検査 | 生後2~3か月 | 正確な閾値決定・周波数別評価 |
ABRとASSRの使い分け
| 項目 | ABR | ASSR |
|---|---|---|
| 刺激 | クリック音・トーンピップ | 周波数固定刺激(40Hz変調) |
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