第16回 言語聴覚士国家試験 第91問
小児聴覚障害第16回
先天性難聴で正しいのはどれか。
- 1.鰓耳腎(BOR)症候群の難聴は感音難聴である 。
- 2.前庭水管拡張症に甲状腺腫を合併する症候群が ある。 ✓
- 3.内耳奇形では鍋牛のみ障害されている場合が多い。
- 4.ミトコンドリア DNA 3243 点変異ではアミノ配糖体抗菌剤の投与で難聴が進行する。
- 5.先天性難聴はほとんどの症例において画像検査で原因を確定できる
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 前庭水管拡張症に甲状腺腫を合併する症候群がある。
前庭水管拡張症(LVAS)は先天性感音難聴の主要な原因の一つですが、Pendred症候群では同時に甲状腺腫(甲状腺機能は正常)を合併します。これは遺伝的背景が異なる重要な臨床的区別点です。
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【各選択肢の解説】
1. 鰓耳腎(BOR)症候群の難聴は感音難聴である
❌ 誤り。BOR症候群の難聴は伝音難聴、感音難聴、混合難聴が混在して出現します。約80~90%の患者に難聴を認めますが、型は多様であり、感音難聴に限定されません。
2. 前庭水管拡張症に甲状腺腫を合併する症候群がある
✅ 正しい。Pendred症候群がこれに該当します。前庭水管拡張症による感音難聴と、甲状腺の発育異常(甲状腺腫)を特徴とする常染色体劣性遺伝症候群です。NHS(新生児聴覚スクリーニング)通過後の進行性難聴の代表原因でもあります。
3. 内耳奇形では蝸牛のみ障害されている場合が多い
❌ 誤り。内耳奇形では蝸牛、前庭、半規管など複数の構造が同時に障害されることが多く、蝸牛単独障害は少数派です。
4. ミトコンドリアDNA 3243点変異ではアミノ配糖体抗菌剤の投与で難聴が進行する
❌ 誤り。この変異は「MELAS症候群」に関連し、アミノ配糖体は原因ではありません。アミノ配糖体が難聴進行リスクとなるのは「12S rRNA遺伝子変異」(A1555Gなど)です。混同しやすい誤りです。
5. 先天性難聴はほとんどの症例において画像検査で原因を確定できる
❌ 誤り。先天性難聴の約50~60%は画像検査(CT/MRI)で異常所見を認めません。内耳奇形が検出されない場合でも遺伝的原因(GJB2など)が存在することが多く、原因確定には遺伝子検査が重要です。
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【試験対策ポイント】
先天性難聴の症候群と特徴:
| 症候群名 | 難聴の型 | 合併症 | ポイント |
|---|---|---|---|
| Pendred症候群 | 感音難聴 | 甲状腺腫(機能正常) | **【正答】**前庭水管拡張症が特徴 |
| CHARGE症候群 | 伝音/感音/混合 | 心疾患・顔面奇形・GER | 複数系統の奇形 |
| Waardenburg症候群 | 感音難聴 | 皮膚着色異常・虹彩異色症 | 広い眼距離 |
| Usher症候群 | 感音難聴 | 進行性網膜色素変性 | 後天的視覚障害 |
| BOR症候群 | **伝音/感音/混合** | 耳・腎・骨格異常 | 難聴型は多様 |
| Jervell-Lange-Nielsen症候群 | 感音難聴 | QT延長・突然死リスク | 常染色体劣性 |
ミトコンドリア関連難聴の遺伝子:
| 遺伝子変異 | 難聴特性 | 危険因子 |
|---|---|---|
| 12S rRNA(A1555G他) | **アミノ配糖体で進行** | 抗菌剤