第16回 言語聴覚士国家試験 第99問
補聴器・人工内耳第16回
人工内耳について正しいのはどれか 。
a.体内装置の故障率は小児 より成人が高い。
b.障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
(障害者総合支援法、旧・障害者自立支援法)の基準内の機種がある。
c.音の高さは電極の刺激する場所によって表現される
d.プログラミング(マッピング)で各電極の刺激量を決める 。
e.3歳までに埋め込むと言語療育は必要ない 。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
人工内耳は、蝸牛内の電極で異なる場所を刺激することで周波数(音の高さ)を表現し、埋め込み後のマッピングで電極ごとの刺激量を調整して聴覚情報処理を実現するシステムです。選択肢cと選択肢dが唯一の正答です。
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【各選択肢の解説】
a. 体内装置の故障率は小児より成人が高い
❌ 誤り。むしろ体内装置の故障率は「小児が成人より高い」とされています。小児は活動量が多く外傷のリスクが高いこと、長期使用に伴う劣化のため、小児患者の方が故障率が高い傾向にあります。
b. 障害者総合支援法の基準内の機種がある
❌ 誤り。人工内耳は厚生労働省の認可機種であっても、「高額医療機器のため障害者総合支援法の給付基準外」とされています。実際には補装具費の給付対象外であり、各自治体や基金による支援制度の対象です。
c. 音の高さは電極の刺激する場所によって表現される
✅ 正しい。蝸牛はトノトピックに組織化されており、基部(ラセン靭帯側)で高周波、頂部(ラセン縁側)で低周波を検出します。人工内耳の電極配列は蝸牛軸に沿って配置され、基部側電極で高周波、頂部側電極で低周波を刺激することで周波数を表現します。
d. プログラミング(マッピング)で各電極の刺激量を決める
✅ 正しい。マッピングとは、聴覚専門家が体外装置の音声プロセッサをプログラムし、各電極の下限値(T値)・上限値(C値)・刺激パターンを個別に調整する臨床技術です。埋め込み直後と定期的にこの調整を行い、利用者の最適な聴覚情報処理を実現します。
e. 3歳までに埋め込むと言語療育は必要ない
❌ 誤り。むしろ「早期埋め込み(3歳までが理想)であっても言語療育は必須」です。人工内耳は聴覚入力を提供するだけであり、音韻体系や言語構造の学習には言語聴覚士による専門的な言語療育が不可欠です。早期埋め込みは「療育に適応する時間的余裕を与える」という意義にすぎません。
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【試験対策ポイント】
人工内耳の基本構造と臨床プロセス:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 体外装置 | マイク・音声プロセッサ・送信コイル |
| 体内装置 | 受信装置・刺激電極群(8~12本) |
| 周波数表現 | トノトピック原理(位置でピッチ判定) |
| マッピング | T値(閾値)とC値(快適レベル)の個別設定 |
| 言語発達 | 療育の有無で予後が大きく変わる(必須) |
故障率のポイント:
- 小児>成人(活動量・外傷リスク高)
- 耐用年数の平均:10~15年
給付制度:
- 「障害者総合支援法」の対象外(明確な法的根拠)
- 補装具費制度:自治体判断で支援あり
- 難聴児支援:各都道府県の基金活用が実務的
マッピング調整の臨床的重要性:
- 「埋め込み直後→退院後3ヶ月→その後定期的」の調整スケジュール
- 年1回以上の再プログ