第17回 言語聴覚士国家試験 第102問
医学総論第17回
院内感染の標準予防策はどれか。
a.消毒剤を散布する。
b.注射器のリキャップをしない。
c.唾液や汗に触れたら手を洗う。
d.粘膜に触れる時には手袋を着用する。
e.N95マスクを着用する。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — b,c,d
標準予防策は、すべての患者の血液・体液・分泌物・排泄物が感染性を持つと仮定し、一律に講じる感染対策です。正答はb(針刺し事故防止)、c(体液接触後の手洗い)、d(粘膜接触時の手袋装用)であり、いずれも感染源の遮断と個人防護具の適切な使用を示しています。
---
【各選択肢の解説】
a. 消毒剤を散布する
❌ 誤り。消毒剤の散布は効果的な感染対策ではなく、むしろ環境汚染や薬剤耐性菌の増加を招く可能性があります。標準予防策は「個人防護具の使用」と「手指衛生」が中心であり、大規模な消毒散布は不適切です。
b. 注射器のリキャップをしない
✅ 正しい。注射針の再キャップは最も多い針刺し事故の原因です。標準予防策では「使用済み注射器は回収容器へ直接廃棄し、リキャップしない」と明記されています。
c. 唾液や汗に触れたら手を洗う
✅ 正しい。唾液は感染性体液に含まれます(汗は一般に非感染性ですが、体液接触後の手洗いは標準予防策の基本)。手指衛生は最も重要な感染対策であり、患者の体液に接触した場合は直ちに洗浄が必須です。
d. 粘膜に触れる時には手袋を着用する
✅ 正しい。粘膜は感染経路の主要なポイントです。患者の粘膜に触れる可能性がある処置(口腔衛生指導など)では手袋を着用し、接触感染を防止します。
e. N95マスクを着用する
❌ 誤り。N95マスクは「飛沫核予防策(空気予防策)」に分類され、結核など気道感染症の患者に対する特殊な予防策です。標準予防策では通常の「サージカルマスク」を使用します。N95マスクの適用は限定的です。
---
【試験対策ポイント】
標準予防策の3つの要素
| 要素 | 具体例 |
|---|---|
| 手指衛生 | 体液接触後の手洗い・アルコール消毒 |
| 個人防護具(PPE) | グローブ・マスク・ガウン・アイシールド |
| 安全な廃棄・処置 | 針刺し事故防止・リキャップ禁止 |
追加予防策との区別
- 標準予防策:すべての患者に適用(体液全般を想定)
- 飛沫予防策:サージカルマスク(麻疹・風疹など)
- 空気予防策:N95マスク(結核・水痘など)
- 接触予防策:ガウン・手袋(MRSA・ノロウイルスなど)
頻出の誤答ポイント
- N95と標準予防策の混同
- 「汗」は基本的に非感染性(唾液とは異なる)
- 消毒散布は推奨されない(環境汚染のリスク)