第17回 言語聴覚士国家試験 第108問
精神医学第17回
躁病について誤っているのはどれか。
- 1.短時間の睡眠でも元気である。
- 2.自己評価が高い。
- 3.大きい声でよくしゃべる。
- 4.集中力が持続する。 ✓
- 5.高価な買い物をする。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 集中力が持続する。
躁病患者は気分の高揚により多弁・多動になりますが、注意散漫で集中力は著しく低下します。むしろ気をそらしやすく、一つのことに焦点を当てられない状態が特徴です。他の選択肢は躁病の典型的な症状そのものです。
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【各選択肢の解説】
1. 短時間の睡眠でも元気である。
✅ 正しい。躁病では睡眠欲求が低下し、3~4時間の睡眠でも十分と感じ、疲労感がありません。睡眠時間の短縮は躁状態の重要な指標です。
2. 自己評価が高い。
✅ 正しい。誇大性(grandiosity)が躁病の中核症状で、自分の能力・重要性を過度に評価します。時に妄想的な確信に達することもあります。
3. 大きい声でよくしゃべる。
✅ 正しい。多弁(logorrhea)で圧迫性言語、声量も大きく、話し始めると止まりません。会話のテンポが速く、頭が追いつかないほどです。
4. 集中力が持続する。
❌ 誤り。躁病では注意散漫(distractibility)が顕著で、集中力は著しく低下します。環境刺激に容易に反応し、一つのタスクを完遂できません。
5. 高価な買い物をする。
✅ 正しい。衝動的で浪費癖が生じ、判断力の低下から高額な買い物や不適切な投資をします。躁病による経済的破綻は実臨床での重大な合併症です。
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【試験対策ポイント】
躁病の10大症状(DSM-5より3項目以上で診断)
| 症状 | 具体例 |
|---|---|
| 気分の高揚 | 異常に楽しい・興奮した状態が持続 |
| 自尊心の増大 | 誇大性・自己過信 |
| 睡眠欲求の減少 | 短時間睡眠で充足 |
| 多弁 | 圧迫性言語・話し続ける |
| 観念奔逸 | 思考の加速・飛躍 |
| 注意散漫 | **集中力低下・気をそらしやすい** |
| 目標志向的活動の増加 | 多動・落ち着きがない |
| 危険な活動への関与 | 無謀な行動・浪費 |
| 性的活動の増加 | 性欲亢進 |
| 易刺激性 | 気に入らないと激怒 |
紛らわしい知識:
- 「集中力が増す」「仕事の能率が上がる」は初期躁状態の**患者の自覚**だが、客観的には「注意散漫=集中力低下」が事実
- 躁状態では本人は「絶好調」と感じるが、実は判断力・批判的思考が著しく障害されている
- 躁病vs双極性障害I型:躁病は「躁エピソード単独」で診断可能。双極性はうつエピソードの既往が必須